セッション情報 一般演題

タイトル

比較的急速な再発をきたし、再内視鏡治療が不可能であった分化型早期胃癌の1例

演者 安孫子 怜史(恵佑会札幌病院 消化器内科)
共同演者 小平 純一(恵佑会札幌病院 消化器内科), 穂刈 格(恵佑会札幌病院 消化器内科), 塚越 洋元(恵佑会札幌病院 消化器内科), 三橋 慧(恵佑会第2病院 内科・消化器内科), 大橋 広和(恵佑会第2病院 内科・消化器内科), 岡原 聡 (恵佑会第2病院 内科・消化器内科), 工平 美和子(恵佑会第2病院 内科・消化器内科), 松本 岳士(恵佑会第2病院 内科・消化器内科), 高橋 宏明(恵佑会第2病院 内科・消化器内科), 小池 容史(恵佑会第2病院 内科・消化器内科), 武内 利直(恵佑会札幌病院 臨床病理研究所 )
抄録 症例は76歳女性。進行食道癌(squamous cell carcinoma, T3, N2, M0, Stage III)と早期胃癌の精査加療目的に当院紹介入院となった。。胃癌の内視鏡治療を先行する方針となり、ESDが施行された。切除検体病理診断は、L, Ant, 38×16mm, 0-IIc+IIb, tub1>tub2, T1a(M), UL(-), ly(-), v(-), HM0(600μm), VM0。腫瘍は背景の萎縮化生粘膜に酷似した絨毛様構造を示し、内視鏡による境界診断困難例であった。食道癌根治術と補助化学療法後(ESD施行から12か月経過後)に施行された上部消化管内視鏡検査でESD瘢痕上にやや不整な開放性潰瘍が認められた。潰瘍底から採取された組織には、胞巣形成しながら間質浸潤する腫瘍細胞(cytokeratin陽性)が認められた。再内視鏡治療は困難であり、胃管切除はリスクが高いと判断され化学放射線療法が施行された。治療後に施行した上部消化管内視鏡検査で病巣は瘢痕化し、生検で腫瘍細胞は確認されなかった。2004年から2011年に当院でESDが施行された早期胃癌のうち、第3版胃癌治療ガイドラインにおける適応拡大治癒切除かつ当院で1年以上経過観察された261病巣中、局所再発が疑われたのは本例を含む2例2病巣であった。他の1例も食道癌術後再建胃管に比較的急速に生じた再発で、開放性潰瘍を伴うsm癌のために内視鏡治療で根治不可能であった。ともに希少例と考えられた。また、本例の再発機序として食道扁平上皮癌のESD潰瘍への生着や血行性転移も推測された。示唆に富む症例と考えられたために報告する。
索引用語 ESD, 再発