セッション情報 シンポジウム1 「消化管疾患における画像診断の進歩」

タイトル

平面検出器を搭載したCアーム式装置と高濃度低粘性バリウムによる胃X線造影検査

演者 萩原 武(札幌厚生病院 第一消化器科)
共同演者 黒河 聖(札幌厚生病院 第一消化器科), 今村 哲理(札幌厚生病院 第一消化器科)
抄録
平面検出器(FPD)を搭載したCアーム式装置(Cアーム)と高濃度低粘性バリウム(Ba)の使用により良好な画像を得られるようになったので、手技の実際と症例を提示する。
前処置として、胃液が多いと画質が低下するのでPPIの内服を行い、便が残存するとコントラストが低下するので前日の下剤内服や当日朝の浣腸を行っている。Baは60-80度温水で230%に直前に作成している。
キシロカインゼリーで鼻腔に麻酔を行い、先端に側孔を作った15Frの胃管を経鼻的に胃角部まで挿入、鎮痙剤を筋注し開始する。
胃が全体的に軽度伸展の空気を注入、胃液が残存している場合には吸引、プロナーゼMS20000単位と重曹1gを温水30ccに溶解したものとBa30ccを混合、胃に注入して体下部から穹窿部を洗浄し吸引する。
小彎、後壁、大彎中心の病変では胃がやや過伸展の空気を注入、Baを180cc-240cc注入、胃管を食道まで抜去する。寝台の起倒と左右のピッチングでBaを関心領域に付着させ撮影する。胃管を再挿入し空気を減らして、空気量の違った写真を撮影、最後に圧迫可能な部位では圧迫を行う。
前壁中心の病変では、Baを120cc-180cc注入、胃管を体上部まで抜去、圧迫用の布団を病変部位に置き圧迫像から撮影する。その後、寝台を半立位として過伸展の空気を注入、左右の交互変換を行いながら寝台を起倒して関心領域にBaを付着させ、胃角部より肛門側では頭低位で、胃角部より口側では半立位で撮影を行う。次第に空気が十二指腸より流出し空気量が減少した状態で写真を撮影する。
小彎や大彎、体上部後壁の病変では、接線像になりやすいのでCアームで斜入撮影を行う。
FPDは濃度分解能が改善されており、Baを付着させる回数が少なくても、検査時間が長くても良質な画像を得られ、Cアームで病変が正面像として描出できる。
範囲診断が困難な、未分化型の腺頸部進展はバリウムの付着むらとして、分化型の横這い型は陥凹面やバリウムの付着むら、アレア陥溝の開大等として描出される。良質な画像は酢酸インジコカルミン混合液散布像と同等の画質と思われる。
索引用語 胃, X線検査