セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 難治性腹水に対するMidodrineの使用経験 |
演者 | 土居 忠(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科) |
共同演者 | 田中 信悟(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科DELIMITER札幌医大 第四内科), 秋山 剛英(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科), 大井 雅夫(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科), 森井 一裕(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科), 高橋 稔(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科), 古川 勝久(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科), 本間 久登(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科), 竹内 幹也(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター外科), 平田 健一郎(札幌共立五輪橋病院 健診センター), 女澤 慎一(札幌共立医院 消化器内科) |
抄録 | 【はじめに】腹水貯留は非代償期肝硬変症患者のQOL (quality of life)を著しく低下させる病態である。α1-adrenergic agonistであるmidodrineが難治性腹水のコントロールに有効であったことが複数のpilot studyで報告されている。今回我々は難治性腹水患者にmidodrineの投与を行い、有効例を経験したので報告する。【対象・方法】対象は高血圧症の合併がない難治性胸腹水4例である。いずれも減塩、利尿剤などの治療に反応しなかった症例であり、midodrine投与にあたっては、倫理委員会の承認と患者の同意を得て行った。midodrine投与量は12 mg/dayとし、投与前後の腎血管抵抗指数(RI)、尿中Na排泄量、レニン活性、アルドステロン等を比較検討した。【結果】midodrineを投与した4例中2症例で胸腹水の減少を認めた。血圧は上昇傾向を示したが、いずれの症例でも正常範囲内に止まり、重篤な有害事象は見られなかった。有効例2例を提示する。【症例1】75歳、女性。非B非C肝硬変。腎動脈血管抵抗指数(RI)はmidodrine投与開始前0.75から投与後0.68に低下、尿中Na排泄量は61.2mEq/dayから142.8 mEq/dayに増加、GFRも改善傾向を示した。【症例2】67歳、男性。C型肝硬変。RIは投与前0.73から0.67へ低下、尿中Na排泄量は98.4から176.4 mEg/dayへ増加、血漿レニン活性、アルドステロン値とも低下傾向を示した。有効例はいずれも平均動脈圧が低い点が共通していた。【考察】midodrine有効例では腎動脈血管抵抗が低下する傾向を示しNa利尿、GFRの改善が認められたことからmidodrineは末梢血管抵抗を上昇させて門脈圧亢進症におけるarterial underfillingを是正し、腎血流動態の変動を改善することで腹水貯留を改善したと推察された。 |
索引用語 | 難治性腹水, midodrine |