セッション情報 一般演題

タイトル

多臓器播種を合併した肝膿瘍の1例

演者 森園 竜太郎(勤医協中央病院)
共同演者 古山 準一(勤医協中央病院), 高木 秀雄(勤医協中央病院), 西尾 仁(勤医協中央病院), 森田 康太郎(勤医協中央病院), 後藤 哲(勤医協中央病院), 松崎 伸幸(勤医協中央病院), 濱本 洋輔(勤医協中央病院)
抄録 【症例】65歳 男性【現病歴】2012年11月に細菌性肝膿瘍(Klebsiella pneumoniae)の診断で当院入院歴有り.2013年2月末に発熱を主訴に当院救急外来を受診.血液検査と腹部造影CTにて肝膿瘍の診断となり同日入院.【既往歴】2012年11月に細菌性肝膿瘍にて入院【経過】入院後より抗生剤(ABPC/SBT,その後PAPM/BPに変更)による治療を開始するも,第5病日目(3/4)の夕方頃より目のかすみを認めたため,翌日当院眼科を受診した結果細菌性眼内炎の診断.同日当協会札幌病院眼科に転院となり硝子体切除+抗生剤(VMC,CAZ)硝子体腔投与+水晶体再建術+シリコンオイル注入施行.第9病日目(3/8)に肝膿瘍の治療及び腸骨静脈血栓疑い,腸腰筋膿瘍疑いで当院転科となる.転科後の画像所見より,肝膿瘍以外にも腸腰筋膿瘍,前立腺膿瘍,脊髄硬膜外膿瘍,右総腸骨静脈血栓を認めた.当院外科,整形外科,泌尿器科,循環器科とも相談の上で,抗生剤による治療継続を行い,血栓に関しては,増大傾向の無い事より膿瘍及び全身状態の改善待ってからの抗凝固療法となった.第19病日目(3/18)の血液検査ではCRP:0.88mg/dLまで改善,第33病日目(4/1)の画像所見でも膿瘍及び血栓の縮小を認めた.第48病日目にリハビリ目的で転院となる.【考察】肝膿瘍の原因には経胆道性,経門脈性,経動脈性,直達性,外傷性,特発性などに分けられるが,本症例は胆道感染を示唆する所見は無く,下痢や急性腸炎症状も認めず,感染経路は不明である.肝膿瘍を原発とし,転移性病変をまとめた報告によると,転移部位は眼内炎(60.8%),肺化膿症(43.4%),脳膿瘍・髄膜炎(26.0%),尿路感染・前立腺膿瘍(21.7%),骨髄炎・関節炎(8.6%),腸腰筋膿瘍(4.3%)となっており,経過も踏まえて考えると,肝膿瘍に続発して血行性に播種して,眼内炎や腸腰筋膿瘍,前立腺膿瘍を形成したと考えた.【結語】細菌性眼内炎,腸腰筋膿瘍,前立腺膿瘍を続発した肝膿瘍の1例を経験した.
索引用語 肝膿瘍, 多臓器播種