セッション情報 シンポジウム1 「消化管疾患における画像診断の進歩」

タイトル

超音波検査に造影剤を用いることで,腸管虚血は評価可能である

演者 武藤 修一(北海道医療センター 消化器内科DELIMITER苫小牧市立病院 消化器内科)
共同演者 高橋 亜季(苫小牧市立病院 検査科), 小西 康平(苫小牧市立病院 消化器内科), 江藤 和範(苫小牧市立病院 消化器内科), 宮本 秀一(苫小牧市立病院 消化器内科DELIMITER北見日赤病院 消化器内科), 大原  行雄(北海道医療センター 消化器内科), 木村 宗士(北海道医療センター 消化器内科), 中原 生哉(北海道医療センター 消化器内科), 田中 道寛(北海道医療センター 消化器内科), 渡邊 修平(北海道医療センター 消化器内科), 馬場 麗(北海道医療センター 消化器内科)
抄録 【背景】急性腹症の画像診断は腹部CTが施行されるが,造影剤は高齢者や腎障害を疑う患者に対して使用が難しい場合がある.近年,腹部超音波検査が腸の虚血や絞扼の診断に有用との報告がある。【目的】急性腹症の患者2例と腹部症状の原因の判別が付かなかった1例に対する腹部造影エコー検査について報告する.【症例】症例1. 40歳代女性.下腹部痛が増強し、前医にて鎮痛薬の効果無く当院救急搬送.CTでは腸管壁の虚血は判断できなかった.造影超音波検査では,造影剤の流入が遅く,血流が乏しい虚血の状態が疑われ、緊急手術となった。症例2. 50歳代男性.化学療法による骨髄抑制後の発熱・右下腹部痛にて当科紹介される.CTでは,上行結腸に著明な壁肥厚を認めた.重症腸炎か壁在膿瘍か判別が困難であり造影超音波検査を施行.肥厚した結腸壁は造影されず,膿瘍か壊死を疑う所見であり手術治療が選択された.症例3. 60歳代男性.嘔吐と下痢の後,意識が消失し当院救急搬送される.腹部造影CTでは上行から横行結腸に壁肥厚と浮腫が見られた.腸管壁の造影は一部不良であったが,SMAやSMVは開存し虚脱は見られなかった.造影超音波検査を行うと上行結腸壁の造影効果は消失し膿瘍か壊死を疑う所見であったため,緊急手術となった.【結果】全て手術所見は虚血,もしくは疎血後の所見であった.造影超音波検査による血流評価は有用であった.【考察】急性腹症を診療する際,臨床所見と併用して画像検査を行い,治療方針を決定する.腹部CT単独よりも,造影超音波検査を併用する事で,絞扼イレウスや腸管虚血の評価がより有用であった.ソナゾイドは,血管外に移行しないため正確な虚血の判定が可能とされる.腸管の虚血を評価するために,造影超音波検査は非常に有用である.
索引用語 造影超音波検査, 急性腹症