セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル

erythromycin内服を契機に発症し長期間持続した肝障害の一例

演者 櫻田 晃(札幌医科大学医学部 腫瘍・血液内科学講座)
共同演者 宮西 浩嗣(札幌医科大学医学部 腫瘍・血液内科学講座), 河野 豊(札幌医科大学医学部 腫瘍・血液内科学講座), 保木 寿文(札幌医科大学医学部 腫瘍・血液内科学講座), 田村 文人(札幌医科大学医学部 腫瘍・血液内科学講座), 堀口 拓人(札幌医科大学医学部 腫瘍・血液内科学講座), 林 毅(札幌医科大学医学部 腫瘍・血液内科学講座), 佐藤 勉(札幌医科大学医学部 腫瘍・血液内科学講座), 佐藤 康史(札幌医科大学医学部 腫瘍・血液内科学講座), 瀧本 理修(札幌医科大学医学部 腫瘍・血液内科学講座), 小船 雅義(札幌医科大学医学部 腫瘍・血液内科学講座), 加藤 淳二(札幌医科大学医学部 腫瘍・血液内科学講座), 鹿毛 政義(久留米大学病院 病理部)
抄録 患者は50歳台女性.2010年1月に咳嗽と喀痰にて当院呼吸器内科受診し,びまん性汎細気管支炎の診断で8月よりerythromycinが処方された.10月の採血で肝障害(AST/ALT=109/144)が出現し,当科紹介入院となった.同薬剤休薬後も肝障害が改善せず,PSL内服が開始された.その後肝障害は改善し2011年4月にはPSLの休薬が可能となった.同年10月に咽頭痛と発熱,肝障害(AST/ALT=230/445)の再出現を認め,精査加療目的に当科再入院.SBT/CPZ投与後にアナフィラキシーショックとなり,mPSL大量療法を開始.その後症状の軽快と肝障害の改善を認めた.2012年3月にも肝障害(AST/ALT=107/243)を認めたが,UDCA投与にて改善した.しかし同年6月に再び肝障害の増悪(AST/ALT=259/602)を認めたため当科再入院.今回の入院を含めこれまでの経過中に施行した4回の肝生検ではいずれも同様の所見で,肝細胞の脱落,肝細胞の多核巨細胞化を認めていた.高度の肝細胞傷害が認められたことからPSL50mgより再開した.しかしPSL減量時に肝障害の悪化を認めたためCyAを併用したところ肝細胞障害の増悪なくPSL減量が可能となった.2013年6月現在PSL10mg, CyA 140mgにて外来経過観察中である.本症例は当初erythromycinを被疑薬とする薬物性肝障害と考えられたが,被疑薬中止後も肝障害が長期間持続しており,続発的に何らかの肝障害が発症,持続したものと考えられた.AIHの診断基準は満たさないものの,肝細胞の多核巨細胞化の存在からAIHに類似した肝障害であることが推測された.
索引用語 薬剤性肝障害, 自己免疫性肝炎