セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル

腹腔鏡内視鏡合同手術を施行した胃inflammatory fibroid polypの1例

演者 佐々木 基(市立室蘭総合病院 消化器内科)
共同演者 中垣 卓(市立室蘭総合病院 消化器内科), 飯田 智哉(市立室蘭総合病院 消化器内科), 永縄 由美子(市立室蘭総合病院 消化器内科), 石上 敬介(市立室蘭総合病院 消化器内科), 佐藤 修司(市立室蘭総合病院 消化器内科), 清水 晴夫(市立室蘭総合病院 消化器内科), 金戸 宏之(市立室蘭総合病院 消化器内科)
抄録 消化管Inflammatory fibroid polypは1953年にHelwigらが独立した疾患概念として初めて報告した比較的稀な炎症性腫瘤である。胃に最も多くみられ、前庭部に発生するものが最多である。肉眼型は小さなものでは表面平滑な亜有茎性~有茎性の粘膜下腫瘍の形態を示すことが多く、腫瘤の増大に伴い表面に潰瘍を形成し、ドーム状の二段隆起の形成や陰茎亀頭様の外観と呈する事もある。超音波内視鏡所見では,均一な低エコーが典型的とされるが、腫瘤内の血管の状態により高エコーを呈する事もあり,診断に苦慮することが多い.悪性化のリスクは低いとされており、治療は局所治療で十分と考えられるが、術前診断が困難なため過大侵襲手術となる事も稀ではない。今回我々は,術前診断が困難であった1例を経験したので報告する.症例は62歳,女性。平成24年の健診で胃前庭部後壁に異常を指摘され来院。上部内視鏡検査で前庭部小彎に2cm大の表面平滑な粘膜下腫瘍を認めた.色素散布では頂部に浅い陥凹を認めた.超音波内視鏡では第3~4層に首座を置く、内部エコー不均一な病変として認められた。表面粘膜からの生検は正常胃粘膜の診断であった.以上の所見よりGISTを第一に疑った.形態,腫瘍径から経過観察を検討したが,患者から切除の強い希望があり、診断的治療目的に腹腔鏡内視鏡合同手術(Laparoscopy and Endoscopy cooperative surgery:LECS)を施行した。術後病理組織学的所見では、腫瘍は粘膜下層由来で、Vimentin,CD34が陽性、smooth muscle actin, desmin, S-100, CD10, bcl-2, KITは陰性、間質には膠原繊維の中に好酸球の浸潤を伴い,血管周囲には繊維芽細胞の同心円状の配列を認め,胃inflammatory fibroid polypと診断された。術前診断が困難であったがLECSにより比較的低侵襲な加療を施行できた1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 inflammatory fibroid polyp, LECS