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タイトル

自己免疫性膵炎における悪性腫瘍の合併について

演者 友成 暁子(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
共同演者 真口 宏介(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 潟沼 朗生(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 高橋 邦幸(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 小山内 学(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 矢根 圭(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 高木 亮(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 金 俊文(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 松本 和幸(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 松森 友昭(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 権 勉成(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
抄録 【背景と目的】近年、自己免疫性膵炎(以下AIP)と、悪性腫瘍の合併に関しての報告が散見されるが、その発生頻度やAIPとの関連性に関しては依然不明な点が多い。今回当センターで診断・治療を行ったAIP症例における悪性腫瘍の合併について検討した。
【対象と方法】1998年2月から2012年12月の期間に自己免疫性膵炎診断基準(2011)によりAIPと確定診断した48例(M:F=35:13, median age 65, 22-85yrs)を対象とした。検討項目は1)癌合併の頻度と発生部位、2)AIP診断と癌の発生時期、3)癌の治療法、Stage、予後、とした。
【結果】1)6例(12.5%)7部位で癌発生を認めた。発生部位の内訳と組織型は、肺(扁平上皮癌)2例、乳房(不明)、喉頭(不明)、大腸(腺癌)、前立腺(腺癌)と胃(腺癌)の重複癌がそれぞれ1例であった。2)2例2部位(喉頭と乳房)はAIP診断前60ヵ月、108ヵ月で癌が発見されていた。残りの4例5部位は、胃癌と大腸癌はAIP診断時に、前立腺癌と肺癌の2例はAIPの経過観察中1、3、6ヵ月で発見された。3)肺癌の1例はStage IVであり化学療法を施行し、32か月後に癌死した。前立腺癌はホルモン療法、胃癌と大腸癌は内視鏡的切除、乳癌、喉頭癌、肺癌は外科的切除術が施行され、全てStage Iの判定であった。予後は観察期間中央値41.5ヵ月で5例が無再発生存中である。
【結論】少数例の検討であるが、AIP症例の癌合併率は12.5%と比較的高率であり、また発生部位も多岐にわたる。このため、AIPと診断した際には全身のスクリーニングを行う必要があると考えられた。しかしながらAIPと癌の発生との関連には不明な点も多く、今後大規模な症例の蓄積による検討が必要である。
索引用語 自己免疫性膵炎, 合併癌