セッション情報 一般演題

タイトル

異所性膵に胃壁内膿瘍の合併が疑われた1例

演者 鈴木 美櫻(北海道大学病院 消化器内科)
共同演者 大野 正芳(北海道大学病院 消化器内科), 大森 沙織(北海道大学病院 消化器内科), 高橋 正和(北海道大学病院 消化器内科), 工藤 大樹(北海道大学病院 消化器内科), 吉田 武史(北海道大学病院 消化器内科), 中川 学(中川胃腸科), 森 康明(北海道大学病院 光学医療診療部), 山本 純司(北海道大学病院 消化器内科), 桑谷 将城(北海道大学病院 消化器内科), 中川 宗一(北海道大学病院 消化器内科), 小野 尚子(北海道大学病院 光学医療診療部), 間部 克裕(北海道大学病院 光学医療診療部), 清水 勇一(北海道大学病院 消化器内科), 加藤 元嗣(北海道大学病院 光学医療診療部), 坂本 直哉(北海道大学病院 消化器内科)
抄録 症例は50歳台女性。2012年8月急激な心窩部痛にて近医受診した。急性胃炎を疑われ投薬治療を受けたが、症状に改善なく、同日夜より38~39℃の発熱も認めたため2日後に当科初診となった。当科でのCTでは胃前庭部の壁肥厚を認め、腹部エコーでは胃前庭部に低エコーを呈し内腔に突出する、粘膜下層由来の隆起性病変を認めた。引き続き施行したEGDでは胃前庭部後壁に、40mm大の頂部に陥凹を伴う粘膜下腫瘍(SMT)を認めた。腹痛の原因が同部と断定はできなかったが、これまでに症状改善なくCRP15.6と著明な炎症反応高値も認めたため、入院管理とした。入院後は絶食としたが、以後発熱を認めず腹痛は軽快した。
腹痛軽快後の第7病日、SMT精査目的にEUS-FNAを行うこととした。SMTは全回より緊満感を失って縮小しており、頂部からは白色の膿汁の流出を認めた。EUSではSMT内部はモザイク状の高エコーとして描出された。同部より生検及びEUS-FNAを施行したが、炎症組織を認めるのみであり、採取した膿汁の培養でも有意な菌の発育は見られなかった。
2週後の腹部エコーでは胃前庭部のSMT様病変は認められなかったが、EGDでは柔らかく緊満感を失ったSMTが観察され、EUSでSMT内には導管と思われる低エコー帯が認められ、SMTは異所性膵である可能性が高いと判断した。従って、今回のエピソードは同部に感染を起こし、胃壁内膿瘍を形成していたものと思われた。
以後腹痛の再燃なく、無治療で外来経過観察中である。
異所性膵は正常膵に起こる全ての病変がおこり得るとされるが、その頻度は極めて少ない。今回異所性膵に感染を合併したと考えられる一例を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 胃粘膜下腫瘍, 異所性膵