セッション情報 シンポジウム1 「消化管疾患における画像診断の進歩」

タイトル

大腸3D-CTからみた大腸内視鏡(CS)の見落とし率の検討―Japanese National CT Colonography Trial(JANCT)症例の検討からー

演者 土井  綾子(KKR札幌医療センター 斗南病院 消化器内科DELIMITER大腸3次元CT研究会)
共同演者 平山 眞章(KKR札幌医療センター 斗南病院 消化器内科DELIMITER大腸3次元CT研究会), 藤井 亮爾(KKR札幌医療センター 斗南病院 消化器内科), 藤江 慎也(KKR札幌医療センター 斗南病院 消化器内科), 溝口 亜樹(KKR札幌医療センター 斗南病院 消化器内科), 皆川 武慶(KKR札幌医療センター 斗南病院 消化器内科), 高橋 祥(大腸3次元CT研究会DELIMITER岩手県立高田病院 内科), 木村 朋広(KKR札幌医療センター 斗南病院 消化器内科DELIMITER札幌医科大学 第4内科), 庵原 秀之(KKR札幌医療センター 斗南病院 消化器内科DELIMITER札幌医科大学 第4内科), 住吉 徹哉(KKR札幌医療センター 斗南病院 消化器内科), 由崎 直人(KKR札幌医療センター 斗南病院 消化器内科), 近藤 仁(KKR札幌医療センター 斗南病院 消化器内科DELIMITER大腸3次元CT研究会)
抄録 【目的】昨年本邦でも保険収載された大腸3D-CTは,欧米を中心に発展した新しい大腸腫瘍性病変の検査法として注目されている.本邦では大腸腫瘍性病変の検査は主に大腸内視鏡検査(CS)がGold standardとして用いられている.しかし,そのCSにある程度の見落としがあることはあまり認知されていない.その理由の一つとしてCSの見落とし症例の検討では,癌登録や複数回のCSをstandardとした報告があるが,明確なreference standardは存在しないと考えられるからである.JANCTでは大腸3D-CTで10mm以上のポリープを指摘したにも関わらず、内視鏡で認めない場合を追加CSの適応としている.そこでJANCT登録症例のうち初回CSで見落とされた病変について,その肉眼型や部位,見落としたCSの検査時間等について検討するとともに,大腸3D-CTをCSのreference standardとする可能性について検討した.【方法及び対象】対象はJANCTに登録された1257例のうち,脱落症例を除いた1181例である.CT装置はすべて16列以上で,前処置にはPEG-C法を用い,読影にはコンピューター支援診断(CAD)付きのAZE Virtual Placeを用いた.初回のCSは大腸3D-CTと同日に施行され、追加CSは4ヶ月以内に施行された.【成績】初回CSで見落とされたことが確認された症例・病変は9症例11病変,全体の0.76%,10mm以上の病変の内で4.78%であった.部位はA,T,D,S,Rで各々 3,2,1,3,2病変であった.肉眼型はIIa(1病変),Ip(4病変),Is(6病変)であった.平均腫瘍径は13.3mmで,このうち2例2病変がadenocarcinomaであった.これらの症例の初回CS施行時間は挿入から抜去まで処置時間を含めて24.8±9.4分であった.これら11病変の全てが3D-CTでCS前に指摘されていた.【結論】以上よりJANCTのプロトコールによる大腸3D-CTはCSの見落としを補完する可能性が高いことが示された.
索引用語 大腸CT, 大腸内視鏡