セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
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タイトル | 急性食道粘膜病変(AEML)において緊急上部内視鏡検査は必要か |
演者 | 巽 亮二(札幌東徳洲会病院 消化器センター) |
共同演者 | 太田 智之(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 松原 悠(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 好崎 浩司(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 坂本 淳(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 佐藤 龍(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 網塚 久人(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 木村 圭介(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 古川 滋(札幌東徳洲会病院 IBDセンター), 前本 篤男(札幌東徳洲会病院 IBDセンター), 折居 史佳(札幌東徳洲会病院 IBDセンター), 蘆田 知史(札幌東徳洲会病院 IBDセンター) |
抄録 | 【背景と目的】緊急内視鏡検査を要する上部消化管出血のなかで、急性食道粘膜病変(AEML)は重要な鑑別疾患として挙げられる。しかし、AEMLを有する症例では併存疾患のために全身状態不良例も多く、緊急内視鏡検査の施行が躊躇される症例も存在する。そこでAEMLを認めた症例を後ろ向きに調査し緊急内視鏡検査の必要性を検討した。【方法】2006年1月から2013年9月までに当院受診後12時間以内に緊急内視鏡検査を実施したAEML66例を検討した。【結果】平均年齢は69歳、男性41例、女性25例であり、来院時主訴は吐血が25例(38%)、黒色嘔吐が33例(50%)、黒色便が8例(12%)であった。入院加療を要した併存疾患の合併例は40例(61%)であり、急性アルコール中毒が10例(25%)、出血性胃・十二指腸潰瘍が5例(13%)、肺炎が3例(8%)などであった。バイタルサインとして収縮期血圧・拡張期血圧・脈拍の平均は各々124mmHg、71mmHg、95回/分であったが、収縮期血圧が100mmHg未満または脈拍数が100回/分以上のバイタルサインが不安定な症例が半数存在した。血液検査では発症時のヘモグロビン(Hb)値の平均は12.1g/dl(4.8-18.4)で、うち49例(74%)が10g/dl以上であり高度貧血症例は少なかった。すなわちバイタルサイン不良は消化管出血以外で惹起されている症例も多かった。発症時にCTが撮影された36例において食道壁は浮腫状に肥厚しておりその厚さは平均6.1mmであった。止血術施行例は8例(12%)存在しAEML自体から3例(4.5%)、他は併存する消化性潰瘍やMallory-Weiss症候群からの出血であった。【結論】AEMLは高齢男性で併存疾患を伴う症例が多く、半数はバイタルサインが不安定な症例であったがHbの低下は軽度であった。止血術施行例が少数であることを考慮するとCTでの食道壁肥厚所見なども参考にしながら、上記の特徴を有する症例では緊急内視鏡を回避できる可能性が高いと考えられた。 |
索引用語 | 急性食道粘膜病変, 緊急内視鏡検査 |