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タイトル

膵癌術前補助化学療法としてのGemcitabine+S-1(GS)療法の検討

演者 高木 亮(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
共同演者 真口 宏介(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 高橋 邦幸(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 潟沼 朗生(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 小山内 学(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 矢根 圭(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 金 俊文(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 松本 和幸(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 松森 友昭(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 権 勉成(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 友成 暁子(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
抄録 【目的】膵癌は予後不良の疾患であり、根治的外科切除術後の再発率も高いため、集学的治療として術前・術後補助化学(放射線)療法の模索が続けられている。近年、当センターでも、borderline resectable症例を中心に、Gemcitabine+S-1(GS)を用いた術前補助化学療法(NAC)を行っており、その安全性や有効性について検討する。【対象】2012年4月から2013年3月までに経験した新規膵癌115例のうち、NACとしてGS療法を施行した18例(15.7%)。男女比8:10、平均年齢68.8歳(51~86歳)。GS療法はGEST試験のレジメンに準じ、2~4コース施行後、画像による再評価を行った。【検討項目】(1)治療前臨床病期、(2)奏効率、(3)有害事象、(4)手術施行率およびR0切除率、(5)術後病期および病理学的効果。【結果】(1)JPS分類でStageIII 2例、StageIVa 16例。NCCN分類ではResectable 6、Borderline resectable 11、Unresectable 1。(2)GS療法を終了した14例の奏効率はRECIST分類でPR 3例、SD 8例、PD 3例。(3)CTCAEv4.0でGrade3以上の有害事象は11例(61.1%)(白血球・好中球減少 8、血小板減少 2、薬疹 3)で認めた。1例(薬疹)でGS療法を中止し、9例でスキップや減量が必要であった。(5)GS療法を終了した14例のうち、8例(57.1%)に対して手術を施行し、6例(42.9%)でR0切除を達成した。他の2例は#16リンパ節転移陽性のため単開腹と姑息手術(胆管空腸吻合)となった。手術を施行しなかった6例の理由は、局所進行(非切除因子改善なし) 4例、遠隔転移出現 2例であった。(6)術後病期はStageIII 5例、StageIVa 1例。6例のうち病理組織学的にNACの効果を評価できたのは4例であり、3例でCAP grade3、Evans gradeIであり、1例でCAP grade2、Evans gradeIであった。【結論】NACとしてのGS療法は、有害事象の出現頻度が比較的高いものの、down stagingの可能性や、潜在的遠隔転移症例の手術回避ができる点において有用と考えられるが、エビデンスは不十分であり、大規模なRCTによる検証が必要である。
索引用語 術前補助化学療法(NAC), Gemcitabine+S-1(GS)療法