セッション情報 一般演題

タイトル

胃蜂窩織炎で発見された横行結腸全周性狭窄を伴う、区域性潰瘍性大腸炎合併colitic cancerの1例

演者 宮下 憲暢(愛育病院 消化器内科)
共同演者 小笹 真理子(愛育病院 消化器内科), 工藤 真弓(愛育病院 消化器内科), 佐賀 啓良(愛育病院 消化器内科), 三和 公明(愛育病院 消化器内科), 斉藤 誠(愛育病院 内科・血液内科), 森岡 正信(愛育病院 内科・血液内科), 村上 貴久(愛育病院 外科), 竹之内 伸郎(愛育病院 外科), 屋比久 孝(愛育病院 外科), 浅香 正博(北海道大学大学院医学研究科がん予防内科学講座), 石田 雄介(北海道大学大学院医学研究科腫瘍病理学分野), 木村 太一(北海道大学大学院医学研究科腫瘍病理学分野), 谷野 美智枝(北海道大学大学院医学研究科腫瘍病理学分野), 田中 伸哉(北海道大学大学院医学研究科腫瘍病理学分野)
抄録 [症例]29歳、男性 [主訴] 心窩部痛[現病歴] 平成24年10月18日より心窩部痛を認め、近医受診。胃腸炎と診断され症状は軽快した。27日より、強い上腹部痛、発熱を認め再診。血液検査にてWBC15500、CRP21、上腹部の反跳痛を認め入院となる。[経過] 入院時腹部造影CTでは、胃壁全体の浮腫状肥厚、大網のdensity上昇・膿瘍形成、胃周囲に遊離ガスを認めた。GISでは、幽門後壁主体の浮腫・発赤を認めた。以上より胃蜂窩識炎及び周囲への炎症の波及が疑われた。外科治療も考慮したが、絶食・抗生剤により炎症所見は改善した。その後のCSでは、横行結腸にのみ狭窄、潰瘍、粗造粘膜、偽ポリポーシスを認めたが他部位には所見を認めなかった。生検では確定診断には至らなかったが、潰瘍性大腸炎(UC)を強く示唆されたため、5-ASAを開始。その後の腹部造影CTにおいて横行結腸の壁肥厚・狭窄の増悪を認めたため、横行結腸狭窄解除及び確定診断目的に胃部分切除及び右半結腸切除術を施行。切除標本病理所見では、横行結腸の胃壁合併切除部位に高分化型腺癌(深達度pSS)を認めた。横行結腸のポリープはすべて炎症性であり、陰窩膿瘍等を認めUCの所見であった。区域性UC合併colitic cancer及び炎症の波及による胃蜂窩織炎と診断した。術後療法として5-ASAの継続投与に加えCapecitabineを8コース施行。現在UCの再燃や大腸癌の再発はなく経過観察中である。[考察]UCでは、10年以上の長期経過例や広範囲罹患例などではcolitic cancer発生の危険性が高いことが知られている。しかし、本症例は胃蜂窩織炎で発見された若年者の区域性UC症例で、術後にcolitic cancerの合併が判明した。まれな臨床経過をたどり、術前診断に苦慮した1症例を報告する。
索引用語 区域性潰瘍性大腸炎, colitic cancer