セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル

大腸ステント留置後の腸管損傷に関する臨床病理学的検討

演者 高橋 慶太郎(旭川厚生病院 消化器科)
共同演者 後藤 充(旭川厚生病院 消化器科), 立花 靖大(旭川厚生病院 消化器科), 佐藤 智信(旭川厚生病院 消化器科), 河本 徹(旭川厚生病院 消化器科), 藤永 明裕(旭川厚生病院 消化器科), 斉藤 義徳(旭川厚生病院 消化器科), 柳川 伸幸(旭川厚生病院 消化器科), 折居 裕(旭川厚生病院 消化器科), 柴田 好(旭川厚生病院 消化器科), 佐藤 啓介(旭川厚生病院 臨床検査科), 櫻井 宏治(旭川厚生病院 臨床検査科)
抄録 大腸ステント留置後の合併症としてステント辺縁でのびらん、潰瘍や穿孔といった腸管損傷が報告されている。今回、我々はBridge To Surgery目的に大腸ステントを留置した症例においてステント辺縁での腸管損傷を病理学的に検討した。【対象】2012年1月~2013年5月までに大腸ステントを留置して外科切除を行った8例。ステント留置部位はS状結腸:3例、下行結腸:3例、横行結腸:2例。ステントは全例でWallflex colonic stent φ22mmを使用し、留置したステント長は6cm:4例、9cm:4例。ステント留置期間中央値は13.5日(10~21日)であった。【検討項目】(1)留置ステント口側端および肛門側端の腸管損傷の深度、(2)深部損傷例における留置部位、ステント長、手術までの留置期間と臨床経過を検討した。【結果】(1)口側端の損傷深度は漿膜下層までが1例、固有筋層1例、粘膜下層6例であり、肛門側端では8例全例が粘膜下層までであった。(2)漿膜下層まで損傷していた症例では下行結腸癌に対して9cmのステントを13日間留置し、固有筋層まで損傷していた症例では下行結腸癌に対して6cmのステントを16日間留置していた。2症例とも手術までの期間に経口摂取を再開しても腹痛など腹部症状は認めず、術中所見でもステントの影響は認めなかった。手術は一期的吻合術が施行され、術後経過は良好であった。【結語】ステント端による非癌部の腸管損傷は屈曲部に留置した症例で多くみられるとされるが、今回の検討では比較的直線的な下行結腸において深い損傷がみられた。腹痛など臨床症状を認めなくてもステント口側端で深い損傷を来している可能性があることに留意する必要がある。
索引用語 大腸ステント, 腸管損傷