セッション情報 シンポジウム2 「肝胆膵疾患における画像診断の進歩」

タイトル

膵腫瘤のスクリーニングとしての非造影MRI検査の有用性

演者 松本 和幸(手稲渓仁会病院・消化器病センター)
共同演者 真口 宏介(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 高橋 邦幸(手稲渓仁会病院・消化器病センター)
抄録 【目的】膵腫瘤のスクリーニングには低侵襲で効率的であることが望まれる。最近ではMRIが進歩し、MRCP、DWIなど造影剤を用いない検査法が登場してきている。非造影MRI検査の有用性について検討する。【対象】2007年12月から2012年12月までに切除した膵腫瘤のうち、pTS2以下の膵癌 59例:平均腫瘤径 26(8-40)mm、p-NET 23例:20(3.5-60)mm、SPN 6例:27(10-60)mmの計88例を対象とした。MRI撮像法は、T1WI(in-phase, out-of-phase)、T2WI、MRCP、DWI(ADC画像を含む)を基本とし、総撮像時間は15分である。【検討項目】1. T1/T2WIでの腫瘤描出率 2. MRCPでの異常指摘率 3. DWIでの腫瘤描出率 4. MRI全体の腫瘤描出率 5. 腫瘍径20mm以下に対する腫瘤描出率。【結果】1. T1/T2WIでの腫瘤描出率は、膵癌 55.9%(33/59)、p-NET 73.9%(17/23)、SPN 83.3%(5/6)であった。内部intensityは膵癌ではT1:low、T2:isoを呈するものが 63.6%(21/33)と多く、一方p-NET、SPNではT1:low、T2:high(low混在を含む)を呈するものが、52.9%(9/17)、100%(5/5)と多かった。2.MRCPでの異常指摘率は、膵癌 88.1%(37/42)、p-NET 35.5%(7/20)、SPN 33.3%(2/6)であった。3.DWIでの腫瘤描出率は、膵癌 93.2%(55/59)、p-NET 82.6%(19/23)、SPN 100%(6/6)であった。また、DWIで明瞭な高信号を示したのは膵癌 74.5%(41/55)、p-NET 63.2%(12/19)、SPN 100%(6/6)であり、さらにSPNの50%(3/6)は腫瘤内に部分的な高信号を呈していた。4. MRI全体の腫瘤描出率は、膵癌 93.2%(55/59)、p-NET 91.3%(21/23)、SPN 100%(6/6)であった。なお、描出困難であった膵癌4例のうち、3例はMRCPで異常指摘が可能であった。5. 腫瘍径20mm以下の腫瘤描出率は、膵癌 100%(13/13)、p-NET 87.5%(14/16)、SPN 100%(3/3)であり、うちDWIでの腫瘤描出率は膵癌100%(13/13)、p-NET 75.0%(12/16)、SPN 100%(3/3)であった。DWIで描出困難であったp-NET4例のうち2例はT1/T2WIで腫瘤描出可能であったが、2例は描出困難であり、それらの腫瘍径はいずれも5mm以下であった。【結語】膵腫瘤に対する非造影MRI検査の腫瘤描出率は高く、特にDWIでは小腫瘤の描出も高率に可能であった。また、MRCPは間接所見の拾い上げに有用である。非造影MRI検査は膵腫瘤のスクリーニングに有用性が高いと考える。
索引用語 膵腫瘤, MRI