セッション情報 シンポジウム2 「肝胆膵疾患における画像診断の進歩」

タイトル

HCCに対するTACE:肝特異性造影剤とcone beam CTの有効活用

演者 作原 祐介(北海道大学病院 放射線診断科)
共同演者
抄録 HCCの画像診断において、肝特異性造影剤から得られる情報は非常に重要である。特にMR画像では、Gd-EOB-DTPA(EOB・プリモビスト)が血流診断と肝細胞機能診断を同時に行うことを可能にし、HCC診断は著しく発展した。CTに劣っていた空間分解能は3D-VIBE法で大きく改善し、本来の長所であるコントラスト分解能の高さも相まって、MR画像の診断精度はCTAP/CTHAと比較されるまでになった。勿論CTAP/CTHAのメリットは今も大きいが、他のモダリティの診断精度が向上した今日、HCC診療における位置づけについては再考する余地があると考えている。
DSA装置では、cone beam CT(以下CBCT)の開発でCT機器を備えずともCTに近い画像(CT-like images)を得ることが可能になった。画質はCTに劣るが、MR画像と併せることで病変検出能は向上する。また、各種アプリケーションの開発により、単に“CT-like imagesを得るための機能”ではなく、“IVR治療をアシストする機能”を持つようになり、その有用性は飛躍的に高まった。アプリケーションの一つである血管内デバイス誘導支援ツール(syngo Embolization guidance)は、術中のCBCTで得た画像データから、腫瘍の栄養血管を自動抽出して経路を表示する機能を有し、栄養血管の判別を容易にする。さらに、CBCTデータから作成した血管の3D再構成画像および栄養血管への経路は、リアルタイムで透視ライブ画像に重ね合わせることが可能で、再構成画像は透視角度の変化にも連動するので、斜位像での血管撮影も最小限にとどめることができる。これらは治療時間の短縮、被曝や造影剤投与量の低減に大きく寄与する。
今回は、MR画像とCBCTの組み合わせによるHCC診断と、血管内デバイス誘導支援ツールを活用した症例を紹介し、より低侵襲で高効率のTACE治療について考察する。
索引用語 HCC, TACE