セッション情報 一般演題

タイトル

内視鏡的乳頭括約筋切開術後の経過中に認められた感染性肝嚢胞の2例

演者 小柴 裕(伊達赤十字病院 消化器科)
共同演者 久居 弘幸(伊達赤十字病院 消化器科), 平子 匡(伊達赤十字病院 消化器科), 宮崎 悦(伊達赤十字病院 内科), 前田 喜晴(伊達赤十字病院 外科), 佐藤 正文(伊達赤十字病院 外科), 川崎 亮輔(伊達赤十字病院 外科), 行部 洋(伊達赤十字病院 外科), 上野 峰(伊達赤十字病院 外科), 在原 洋平(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座), 池田 裕貴(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座)
抄録  今回、内視鏡的乳頭括約筋切開術 (EST)後の経過中に認められた感染性肝嚢胞の2例を経験し、臨床上注意を要し示唆に富む症例と考えられたので報告する。
【症例1】64歳、女性。平成23年11月上旬より心窩部痛あり近医受診し、腹部超音波検査で胆嚢結石、胆嚢壁肥厚を指摘されていた。平成23年11月下旬に心窩部痛の増強、背部痛あり、当院救急外来受診し、肝胆道系酵素・アミラーゼの上昇、CTで膵腫大および膵周囲液体貯留を認め、急性胆石性膵炎の診断で入院。緊急ERCPを施行し、引き続きESTおよび内視鏡的胆管ドレナージを施行した。軽快後12月上旬に退院し、待機的に胆摘術の方針であったが、退院5日後に40℃台の発熱あり再入院。術前より認められていた50×35mm大の外側区の嚢胞内にsludge echoを認め、感染性肝嚢胞と診断し、抗菌薬を開始し、第3病日に経皮経肝ドレナージを施行。膿性の嚢胞液が得られ、培養でEnterobacter aerogenesが検出された。ドレナージチューブからの造影では胆管は造影されなかった。炎症所見改善後、塩酸ミノサイクリン嚢胞内注入療法を行い、第17病日にドレナージチューブを抜去し、胆摘目的に外科へ転科となった。
【症例2】72歳、女性。平成5年に総胆管結石に対し、EST截石。以前より多発性肝嚢胞を指摘されていたが、平成25年2月上旬より、心窩部痛、背部痛、39℃の発熱を認め当院受診。抗菌薬を開始し、右葉の70mm大の嚢胞に対して第2病日に経皮経肝的ドレナージを施行し、塩酸ミノサイクリン注入療法を行った。血液培養ではE.coliが検出され、嚢胞液からは起炎菌は検出されなかったが、臨床経過から感染性肝嚢胞と考えられた。第37病日にドレナージチューブを抜去し、第39病日に退院となった。
索引用語 感染性肝嚢胞, 内視鏡的乳頭括約筋切開術