共同演者 |
真口 宏介(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 高橋 邦幸(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 潟沼 朗生(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 小山内 学(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 矢根 圭(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 金 俊文(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 高木 亮(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 松本 和幸(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 松森 友昭(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 友成 暁子(手稲渓仁会病院 消化器病センター) |
抄録 |
【目的】主膵管型IPMN(MD-IPMN)は悪性の頻度が高いことから切除適応とされているが、種々の理由により経過観察となる例も存在する。今回、当センターで診断したMD-IPMN例について検討した。【方法】1997年4月から2013年4月までに診断したMD-IPMNは22例であり、このうち診断時切除10例:A群(平均年齢70.7歳(63-81),男:女 3:7)と経過観察とした12例中1年間以上経過した7例:B群(69.1才(62-81),4:3)を対象とした。当センターのMD-IPMNの定義は、主膵管内に粘液貯留もしくは腫瘤性病変が存在し、周囲分枝の拡張を伴わないものとし、進展の定義は主膵管径の2mm以上の増大・結節隆起の出現もしくは2mm以上の増大とした。【検討項目】1)切除例の内訳、2)経過観察例の内訳と進展率、3)経過観察後切除例の検討、4)予後とした。【結果】1)診断時の平均主膵管径は13.6mm(6-25)、有結節80%{(8/10)、平均結節隆起高10.6mm(0-20)}であった。術式はPD4、DP5、TP1であり、病理組織学的診断は腺腫3、非浸潤癌3、微小浸潤癌3、浸潤癌1(切除断端は全て陰性)であった。2)経過観察開始時の主膵管径は平均7.1mm(4-13)、有結節28.5%{(2/7),平均結節隆起高3.5mm(1-6)}であった。平均観察期間57ヵ月(12-86.2)で3例(43%)に進展(主膵管径増大+結節出現1,主膵管径増大+結節増大2)を認めた。3)進展の2例に対し外科的切除(PD)を施行し、病理組織学的診断は非浸潤癌 1,腺腫1であり、浸潤癌は認めなかった。一方、MDS・認知症合併の1例は経過観察を継続している。4)全観察期間平均75ヵ月(12-185)でA群では肝膿瘍による他病死1例、微小浸潤癌で1例術死したが、浸潤癌の1例は残膵再発を認めたものの化学療法を行い術後26ヶ月現在経過観察中である。B群では他病死1例(外傷性頸椎損傷)を認めたが、原病死例はなかった。【結論】初回診断時切除群では悪性率は70%と高かったが、浸潤癌は1例のみであった。経過観察群における進展率は43%と高かったが、進展までの期間は比較的長く、浸潤癌を認めていないことから患者背景によっては経過観察を行い得る可能性がある。 |