セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
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タイトル | ダブルバルーン内視鏡にて診断し得た空腸MALTリンパ腫の一例 |
演者 | 田中 一之(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野) |
共同演者 | 内海 辰哉(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 佐々木 貴弘(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 坂谷 慧(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 堂腰 達矢(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 藤林 周吾(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 安藤 勝祥(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 上野 伸展(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 嘉島 伸(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 後藤 拓磨(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 笹島 順平(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 稲場 勇平(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 伊藤 貴博(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 盛一 健太郎(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 藤谷 幹浩(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 高後 裕(旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野) |
抄録 | MALTリンパ腫は1983年にIsaacsonらにより提唱された疾患概念で,粘膜関連リンパ組織に由来する節外性のリンパ腫の総称である.消化管原発のMALTリンパ腫の報告例の多くは胃原発であり,小腸原発は比較的稀である.今回,ダブルバルーン内視鏡にて診断し得た空腸MALTリンパ腫の一例を経験したので報告する. 症例は80歳代男性.2012年8月頃より腹痛があり,同年10月に前医を受診.上下部消化管内視鏡検査にて異常を認めなかったが,CTで小腸の拡張及び腸重積を疑う所見を認めた.保存的加療で改善なく,12月に精査・加療目的で当科紹介,入院となった.CT・PET所見にて,骨盤内小腸の全周性壁肥厚と腹腔内リンパ節腫大を認めた.小腸造影検査では空腸に狭窄を認め,狭窄部の口側腸管は拡張していた.経口的ダブルバルーン内視鏡検査(DBE)を施行,空腸に全周性の腫瘍を認めた.腫瘍は柔らかく,腫大した絨毛粘膜に覆われ,一部に潰瘍形成を認めたことから悪性リンパ腫を疑った.生検組織所見ではMALTリンパ腫が疑われたが確診には至らなかった.内視鏡的に悪性リンパ腫が疑われること,狭窄症状があること,化学療法施行により穿孔の危険性があることから,空腸部分切除術を施行した.切除標本において,空腸狭窄部に乳頭状に発育する腫瘍を認め,HE染色では不正形の核を有する小型異型リンパ球様細胞が腸管壁を破壊するようにびまん性に増殖していた.免疫染色では,CD20(+),CD79a(+),CD3(-),CD5(-),CD10(-),Bcl-2(+),cyclinD1(-)であり,MALTリンパ腫と確定診断した.術後は食事摂取可能となり,経過良好で退院となった. 空腸原発のMALTリンパ腫は比較的稀であり,診断不明のまま手術される例も少なくない.本症例のようにDBEによる形態学的診断および生検組織診断が空腸悪性リンパ腫の診断およびその後の治療選択に有用であると考えられた. |
索引用語 | 空腸リンパ腫, ダブルバルーン内視鏡 |