セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル

ESDにて診断・治療をした胃顆粒細胞腫の1例

演者 中嶋 千紗(王子総合病院 消化器内科)
共同演者 南 伸弥(王子総合病院 消化器内科), 早坂 尚貴(王子総合病院 消化器内科), 植村 尚貴(王子総合病院 消化器内科), 奥田 敏徳(王子総合病院 消化器内科), 神原 悠輔(同 血液腫瘍内科), 藤見 章仁(同 血液腫瘍内科), 蟹沢 祐司(同 血液腫瘍内科), 鈴木 昭(北海道大学医学研究科分子病理分野)
抄録 症例は49歳女性。1か月前からの心窩部不快感を主訴に2013年1月近医受診。上部消化管内視鏡検査にて胃粘膜下腫瘍を指摘され、精査・加療目的に同年2月当科紹介初診となった。当院での精査において、上部消化管内視鏡検査では胃体上部後壁に立ち上がりが比較的に急峻で正色調、表面にごくわずかな陥凹を伴う10mmの粘膜下腫瘍を認めた。腫瘍は超音波内視鏡検査において第3層に主座を置く均一で低エコーな腫瘤として描出された。さらに生検を施行したところ、顆粒細胞腫の診断を得た。CTでは特記所見を認めなかった。胃顆粒細胞腫は稀だが悪性化の報告があること、また詳細な組織診断を得る目的もあり、患者さんと相談の結果ESDにて切除する方針とした。穿孔などの合併症の可能性ならびにESDは診断的治療であることを説明し、十分な同意を得て同年4月にESDを施行、合併症なく手技は終了した。切除標本径は27mm x 25mm、病変径は10mm x 9mm x 4mmであり、割面像は黄白色調の腫瘤であった。病理組織学的所見では、腫瘍は粘膜下層から粘膜層にかけて存在、紡錘形から類円形の腫瘍細胞よりなっていた。腫瘍細胞は好酸性顆粒を豊富に含んだ細胞質に小型の楕円形核を有しており、小型の充実胞巣を形成して増生していた。被膜形成は認めなかった。免疫染色において、S-100蛋白陽性、CD34陰性、c-kit陰性、desmin陰性であったため最終的に良性の胃顆粒細胞腫と診断した。切除断端は水平・垂直断端ともに陰性であった。その後は経過良好であったため術後第6病日に退院、現在経過観察中である。今回、比較的にまれとされる胃顆粒細胞腫に対しESDにて診断・治療を行った経験をしたので、文献的考察をふまえて報告する。
索引用語 胃顆粒細胞腫, ESD