セッション情報 | 一般演題(研修医(卒後2年迄)) |
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タイトル | amiodarone 服用中に肝実質のCT 値上昇を伴う肝機能障害を呈した2例 |
演者 | 佐々木 博敏(恵み野病院 消化器内科) |
共同演者 | 後藤 学(恵み野病院 消化器内科), 三浦 洋輔(恵み野病院 消化器内科), 千坂 賢次(恵み野病院 消化器内科), 森合 哲也(恵み野病院 消化器内科) |
抄録 | 抗不整脈薬である amiodarone 常用量服用中の副作用として、肝機能障害は1.2%程度と少ないが、肝硬変や肝不全に至り、それが致命傷となる症例の報告もみられる。今回我々は、amiodarone 服用中に肝機能障害を呈し、特徴的なCT所見を示した2例を経験したので報告する。 症例1:86歳 女性、平成15年に肥大型心筋症と Brugada 症候群のため、埋め込み型除細動器(ICD)留置術を施行。amiodarone 200 mg /日を服用していたが、平成25年3月14日、息切れ、倦怠感を主訴に当院循環器内科を受診。うっ血性心不全の診断で入院。入院時GOT 43 IU/l、GPT 32 IU/l と肝機能障害は軽度で amiodarone を継続服用していたが、4月になって肝機能は徐々に悪化。腹部単純CT にて肝実質全体のCT 値は均一に高く、平均110 HU であった。amiodarone による副作用と考え服用を中止したが、肺炎の併発により4月13日永眠した。症例2:64歳男性、平成22年、狭心症と心弁膜症にて開胸術を施行。その後、amiodarone 200 mg/日を服用していたが、平成24年年4月から軽度の肝機能障害を繰り返した。平成25年4月27日、うっ血性心不全により当院循環器内科に入院。GOT 65 IU/l、GPT 52 IU/l で、amiodarone による肝機能障害と考え、100 mg/日に減量。しかし、さらに肝機能が悪化し、5月17日、GOT 180 IU/l、GPT 146 IU/l まで上昇したため、服用を中止。腹部単純CT にて肝実質全体のCT 値は均一に高く、平均103 HU であった。肝生検を施行し、病理組織学的に肝細胞内に小脂肪滴の沈着、末梢細胆管の胆汁うっ滞、グリソン鞘の炎症細胞浸潤および線維化などを認めた。 amiodarone 長期服用による副作用としての肝機能障害は、必ずしもその総投与量や血中濃度に相関しないとされるが、肝実質が均一なCT値上昇を呈する特徴的なCT 所見は amiodarone による薬剤性肝障害の鑑別診断に有用であると考えられた。 |
索引用語 | 薬剤性肝障害, 画像診断 |