セッション情報 |
一般演題(研修医(卒後2年迄))
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タイトル |
胆管空腸吻合部狭窄を超音波内視鏡下順行性胆道ステント留置術(EUS-guided antegrade stenting: EUS-AGS)にて治療し得た1例
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演者 |
脇田 雅大(北海道大学 消化器内科) |
共同演者 |
河上 洋(北海道大学 消化器内科), 桑谷 将城(北海道大学 消化器内科), 川久保 和道(北海道大学 消化器内科), 久保 公利(北海道大学 消化器内科), 工藤 大樹(北海道大学 消化器内科), 阿部 容子(北海道大学 消化器内科), 坂本 直哉(北海道大学 消化器内科), 清水 佐知子(NTT東日本札幌病院 消化器内科) |
抄録 |
超音波内視鏡下胆道ドレナージ術には,胆道消化管吻合術,ランデブー法,順行性ステント留置術(EUS-guided antegrade stenting: EUS-AGS)の3種類があり,近年,その有用性が数多く報告されている.今回我々は,胆管空腸吻合部狭窄に対しEUS-AGSにて治療し得た症例を経験したので報告する.症例は70歳代女性.背部違和感を主訴に前医を受診し,膵頭部癌と診断されて開腹手術が行われたが,周囲への浸潤が強く剥離困難であり,2012年11月姑息手術としての胆管空腸吻合術のみが施行された.GemcitabineとTS-1併用化学療法を7コース施行され,原病はSDの評価であったが,胆管炎を頻回に繰り返し,胆管空腸吻合部狭窄が疑われた.狭窄部解除法として内瘻化を患者が強く希望したため,2013年5月当科に紹介入院となった.コンベックス型EUSで肝外側区を観察したが,肝内胆管B2は2mm程度と拡張は軽度であった.22G穿刺針にて経食道経肝的にB2を穿刺したところ,胆管造影に成功した.0.018 inchガイドワイヤーを穿刺針内に慎重に挿入し,胆管内から胆管空腸吻合部を経由して空腸内に先端を留置し得た.穿刺針を抜去後,ERCPカテーテルにより瘻孔および吻合部狭窄を拡張後,0.025inchガイドワイヤーに交換した.一期的にメタリックステント留置は困難であり,6Fr通電ダイレーターにより吻合部を拡張後,アンカバードメタリックステント(径10mm,長さ40mm)を順行性に吻合部に留置した.施行直後の単純CTでは腹腔内free airや造影剤の漏出はみられなかった.施行後は,一過性の軽度胆管炎がみられたが,保存的加療にて軽快した.術後9日目に退院となった.現在,全身化学療法を継続中である.上部消化管術後再建腸管を有する患者に対するEUS-AGSの有用性の報告は散見されるが,本例のように軽度の肝内胆管拡張に対するEUS-AGSの報告は稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する. |
索引用語 |
EUS-guided intervention, EUS-guided biliary drainage |