セッション情報 一般演題

タイトル

大腸癌肝転移切除における術中造影エコーの有用性

演者 若山 顕治(北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野1)
共同演者 神山 俊哉(北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野1), 横尾 英樹(北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野1), 柿坂 達彦(北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野1), 折茂 達也(北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野1), 蒲池 浩文(北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野1), 敦賀 陽介(北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野1), 武冨 紹信(北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野1)
抄録 【目的】大腸癌の肝転移に対する積極的な外科的切除は有効性であるが、EOB-MRIをはじめとする画像診断技術の進歩により微小な病変も検出されるようになり、いかに術中に検出しうるかが根治的切除にむけて重要な課題である。ソナゾイドを用いた造影USでは、Post-vascular Imaging(いわゆるKupffer Imaging)が得られるという大きな利点がある。当科における大腸癌多発肝転移切除例2例を供覧し、術中造影USの有用性を検討する。【方法】造影剤投与10分後以降に全肝の観察、MI≒0.30付近、フォーカスは画面最深部としコントラストモード1画面でルーティン検査のように全肝を観察、造影剤の欠損像があれば、その都度ファンダメンタルの2画面表示で観察した。【症例1】70歳、男性。上行結腸癌、同時性多発肝転移に対して前医で結腸右半切除術施行、術後、多発肝転移巣に対してpanitumumab+FOLFOXの化学療法が施行された。9サイクル施行時点で治療効果が部分奏功と判定された。術前のEOB-MRIでは、全肝にわたり0.4~1.4cmの肝転移巣を計25個認めた。術中造影USで全ての病巣は描出可能であり、15か所の部分切除にて全病巣を切除し、摘出標本の病理組織学的検索でも、25病巣が確認された。【症例2】45歳、女性。S状結腸癌、同時性多発肝転移に対して前医でS状結腸切除術施行。術後、FOLFOX+Bevacizumabによる化学療法5サイクル施行され、肝病巣の縮小を認めた。術前のEOB-MRIでは0.3~1.4cmの肝転移巣を肝S8に3個、S1に1個認めた。術中造影USですべての病巣を描出し、肝S8亜区域切除+S1部分切除にて摘出した。病理組織学的検索でも4病巣が確認された。【結語】術中造影エコーにより、肝の深部に存在する微小な肝転移巣なども明瞭に描出することが可能であり、これにより大腸癌多発肝転移症例においても確実な病巣の根治的切除が可能となる。
索引用語 転移性肝癌, 術中造影エコー