セッション情報 一般演題

タイトル

mFOLFOX6療法における末梢神経障害発症の危険因子探索~寒冷と末梢神経障害との関連はあるか?~

演者 岩永 一郎(北見赤十字病院 消化器内科 090)
共同演者 江平 宣起(北見赤十字病院 消化器内科 090), 杉浦 諒(北見赤十字病院 消化器内科 090), 大原 正嗣(北見赤十字病院 消化器内科 090), 宮本 秀一(北見赤十字病院 消化器内科 090), 水島 健(北見赤十字病院 消化器内科 090), 上林 実(北見赤十字病院 消化器内科 090)
抄録 【背景】結腸直腸癌に対する全身化学療法として,オキサリプラチンがしばしば使用されるが,末梢神経障害の発症により減量または中止を必要とすることが多い.末梢神経障害の誘発因子として寒冷刺激が挙げられているが,寒冷地域でその頻度が上昇するという報告は無い.【目的】mFOLFOX6療法時のGrade 2の末梢神経障害発症までの期間(Neuropathy-free survival;NFS)に影響する因子の探索を行うこと.また,寒冷期間がNFSに影響を及ぼすか否かを統計学的に検討することで,寒冷であることが末梢神経障害の発症に寄与するかを調査する.【対象と方法】2006年1月から2012年12月までに北見赤十字病院消化器内科にてfull doseでmFOLFOX6療法を行われた結腸直腸癌症例153例を対象とした.全症例についてNFSを算出し,Cox比例ハザードモデルを用いて,危険因子の探索を行った.治療時の気温については,それぞれの症例について,治療開始後3ヶ月間の北見市の気温を調べ,低温期に治療を開始した群がGrade 2の末梢神経障害の危険因子になるかを検討した.【結果】Grade 2の末梢神経障害発症者は153例中89例(58.2%)であり,NFSの中央値は133日であった.単変量解析の結果,年齢のHRが0.967[95%CI 0.948-0.987 p値 0.001],体表面積のHRが2.917[95%CI 0.764-11.1 p値 0.118],白血球数のHRが1.18[95%CI 1.067-1.302 p値0.001],治療時の平均気温のHRが0.997[95%CI 0.975-1.02 p値0.772]であった.またこれらの因子により多変量解析を行った結果NFSの危険因子としては,白血球数[HR 1.144 95%CI 1.030-1.270 p値 0.0118]および年齢[HR 0.974 95%CI 0.954-0.994 p値0.0124]があげられ,白血球数が多いことおよび年齢が低いことが,末梢神経障害発症の危険因子になることが示唆された. 【結語】白血球数と年齢はNFSに影響することが示唆されたが,寒冷期間に治療を始めることがNFSには影響しないことが示唆された.
索引用語 化学療法, 末梢神経障害