セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル

低アルブミン血症と胸腹水を合併した主膵管型IPMNの一症例

演者 萩原 光(日鋼記念病院消化器センター)
共同演者 佐藤 雄太(日鋼記念病院消化器センター), 神山 勇太(日鋼記念病院消化器センター), 根間 洋明(日鋼記念病院消化器センター), 横山 和典(日鋼記念病院消化器センター), 蔵谷 勇樹(日鋼記念病院消化器センター), 舩越 徹(日鋼記念病院消化器センター), 喜納 政哉(日鋼記念病院消化器センター), 高田 譲二(日鋼記念病院消化器センター), 浜田 弘巳(日鋼記念病院消化器センター), 藤岡 保範(日鋼記念病院病理診断科)
抄録 膵IPMNに特異的な症状はなく、腹痛などの非特異的症状から画像診断により発見されることが多い。今回我々は、両側胸水、腹水、低アルブミン血症を主訴に受診し、主膵管型IPMNと診断された一症例を経験したので報告する。症例は75歳男性。呼吸困難感と下腿の浮腫を主訴に近医を受診し、両側胸腹水と低蛋白血症を指摘されて当科に紹介となった。初診時TP 4.2g/dL、アルブミン 1.4g/dLと著明な低アルブミン血症を認めた。EUSでは主膵管内に22mm大の結節状腫瘤を認め、明らかな周囲への浸潤所見は認めず、主膵管型のIPMNと診断した。腹水は漏出性で細胞成分の異常は認めなかった。低蛋白血症の明らかな原因は不明であった。入院後に利尿剤、分枝鎖アミノ酸製剤、栄養剤、高力価パンクレアチンを投与したところ、体重は62.9kgから46.5kg、BMIは25.2kg/m2から18.6kg/m2に低下し、腹水もほぼ消失したたが、低アルブミン血症が改善せず第20病日に退院とした。外来で栄養状態の改善を促し、初診後約8ヶ月目に幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した。術前のEUSでは腫瘍は30mm大に軽度増大していたが、明らかな周囲浸潤を認めず、体尾部膵管は一層の高エコーとして描出され、膵実質も著明な低エコー化を認め、主膵管内浸潤の評価は困難であったために術中迅速病理診断も施行された。病理組織学的診断は微小浸潤をともなう膵管内乳頭腺癌であった。尾側膵は膵実質が消失し、線維性結合組織と肉芽様組織に置換されていた。低アルブミン血症と胸腹水を合併した膵IPMNは我々が検索した範囲では報告例はなかったが、臨床経過と治療反応性から、膵外分泌機能の低下による栄養障害が原因と推察している。術後8ヶ月が経過しているが、再発や低アルブミン血症の再発は認めていない。
索引用語 膵PIMN, 低アルブミン血症