セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル

膵頭部癌術後19年目に発症した肝内結石症に対して再建空腸を用いた空腸瘻を介して内視鏡的に治療した一症例

演者 渡部 真裕子(日鋼記念病院 消化器センター)
共同演者 佐藤 雄太(日鋼記念病院 消化器センター), 神山 勇太(日鋼記念病院 消化器センター), 根間 洋明(日鋼記念病院 消化器センター), 横山 和典(日鋼記念病院 消化器センター), 蔵谷 勇樹(日鋼記念病院 消化器センター), 舩越 徹(日鋼記念病院 消化器センター), 喜納 政哉(日鋼記念病院 消化器センター), 高田 譲二(日鋼記念病院 消化器センター), 浜田 弘巳(日鋼記念病院 消化器センター), 藤岡 保範(日鋼記念病院 病理診断科)
抄録 術後肝内結石症に対しては手術や経皮経肝胆道鏡(PTCS)のほか、最近は小腸内視鏡による経口的内視鏡治療の報告も増加している。しかし、胆管空腸吻合部への到達の困難さや処置用器具のスペックの問題など課題は多い。今回我々は、19年前にPPPD-II法が施行された膵頭部癌術後肝内結石症に対して、再建空腸を用いた空腸瘻を介して内視鏡的に治療した一症例を経験したので報告する。症例は72歳男性。19年前に膵頭部癌(低分化型腺癌、stage I)で手術が施行され、術後の糖尿病に対してインスリン治療を継続していた。朝食後に強い腹痛を認めて当院外来を受診、入院となった。画像診断で肝内結石症と診断した。入院後速やかに症状は軽快し黄疸は合併しなかった。肝内胆管径はB2で約3mmで、PTCSによる砕石は困難と思われた。また、シングルバルーン小腸内視鏡では内視鏡を肝門部まで挿入できなかった。再建空腸を用いた空腸瘻からの内視鏡的結石治療目的に、開腹下に空腸瘻を作製し16Frの外瘻チューブを留置した。術後の消化管運動低下のために経口摂取が遅れたが、術後22日目に経鼻内視鏡を挿入して吻合部を観察した。吻合部までは約30cmで到達も極めて容易であった。瘻孔をPTCSチューブで22Frまで拡張し、術後29日目に処置用気管支鏡を用いてガイドワイヤー下にIDUSを挿入した。結石であることを確認し、狭窄部をEPLBD用バルーンで拡張、バルーンカテーテルで除去した。術後33日目に経鼻内視鏡を用いてバスケットや把持鉗子で遺残結石を除去し、胆管内腔も観察して処置を終了した。カテーテルを抜去して瘻孔が自然に閉鎖したのを確認して術後49日目に退院した。本手技は開腹手術を伴い侵襲が大きいが、内視鏡手技は極めて容易で各種鉗子も使用可能であり、有用な手技と思われる。今後もPTCSや経口内視鏡治療以外の治療法として、適応を検討していきたい。
索引用語 肝内結石症, 術後腸管