セッション情報 一般演題

タイトル

狭窄型虚血性大腸炎の一例

演者 東 直樹(札幌徳洲会病院 消化器内科)
共同演者 福田 一寿(札幌徳洲会病院 消化器内科), 佐藤 康永(札幌徳洲会病院 消化器内科), 関山 伸男(札幌徳洲会病院 消化器内科), 岡村 毅與志(札幌徳洲会病院 消化器内科), 斉藤 琢巳(札幌徳洲会病院 外科), 大原 みずほ(札幌徳洲会病院 外科), 城田 誠(札幌徳洲会病院 外科), 長尾 知哉(札幌徳洲会病院 外科), 紀野 泰久(札幌徳洲会病院 外科), 小谷 裕美(札幌徳洲会病院 外科)
抄録  虚血性大腸炎は、原因は不明ながら大腸に限局した虚血性病変として認知され、今日では大腸のcommon diseaseの一つとなっている。一過性型は壊疽型に移行することはないとされており、保存的治療で治癒するため手術の適応は全くなく、これに対して壊疽型は緊急手術の絶対適応であり、腸管の全層が壊死となるため穿孔し汎発性腹膜炎となるため迅速な手術適応の決定が要求される。 狭窄型は、最初の虚血が著明で筋層まで障害されると筋組織が線維組織に置き換わり狭窄が起きてくるとされている。数週間から数ヶ月でおよそ10%から20%に狭窄が起きるが、実際に一過性型になるか狭窄型になるかは注腸造影や内視鏡で経過観察しないと判明しない。狭窄症状が強い場合や悪性疾患を否定できない場合に手術適応となる。今回我々は狭窄型の虚血性大腸炎の一例を経験したので報告する。 症例は77歳女性。近医に左視床出血後遺症に入院中であった。平成23年8月下旬から腹部膨満感が出現し、絶食・補液で改善せず、当院救急外来紹介となった。来院時、腹部CT検査で下行結腸からS状結腸にかけて浮腫性肥厚を認めた。大腸内視鏡検査(CF)で下行結腸からS状結腸にかけて暗赤色の粘膜と浮腫、びらんを認めた。虚血性大腸炎と診断し、入院の上絶食・補液で加療した。第16病日CFを施行し、下行結腸からS状結腸にかけて入院時より狭窄傾向を認めた。第23病日CFを施行したが、さらに同部位の進行した狭窄と潰瘍性病変を認めた。第25病日注腸X線検査で高度の狭窄を確認した。虚血性大腸炎の狭窄型と判断し、狭窄が進行性のため改善傾向がないため、第37病日当院外科で狭窄部の結腸切除術を施行した。病理組織上、病変部位は漿膜下まで達するUl-4の潰瘍瘢痕を認め、虚血性大腸炎の慢性期として矛盾しない像であった。
索引用語 虚血性大腸炎, 狭窄型