セッション情報 一般演題

タイトル

重症膵炎による膵管損傷により生じた膵仮性嚢胞に対し、EUS下膵仮性嚢胞ドレナージ術が奏功した1例

演者 高添 愛(旭川医科大学 第二内科)
共同演者 山北 圭介(旭川医科大学 第二内科), 鈴木 裕子(旭川医科大学 第二内科), 岩本 英孝(国立がん研究センター東病院), 今澤 雅子(旭川医科大学 第二内科), 北野 陽平(旭川医科大学 第二内科), 太田 雄(旭川医科大学 第二内科), 須藤 隆次(旭川医科大学 第二内科), 玉木 陽穂(旭川医科大学 第二内科), 麻生 和信(旭川医科大学 第二内科), 和田 佳緒利(旭川医科大学 第二内科), 羽田 勝計(旭川医科大学 第二内科)
抄録 【症例】40台男性【主訴】上腹部痛【既往歴】アルコール性急性膵炎【現病歴】H24年10月、上腹部痛にて近医受診。血液検査上膵酵素の上昇と、CTで急性膵炎に伴う異常所見を認め、急性膵炎の診断で即日入院。保存的に治療を行い上腹部痛は改善したが、膵酵素の低下がみられず、精査加療のため12/25当科へ転院となった。【転院時現症】腹部は平坦・軟。上腹部から左側腹部にかけ、軽度の圧痛あり。【経過】転院直後の造影CTでは、膵は頭部・体部・尾部の3領域に島状に分断され、膵体部周囲を中心に被膜形成のある液体貯留を認めた。また膵尾部は腫大し、周囲には液体貯留を認めた。残存している膵の造影効果は保たれていた。以上より壊死性膵炎と、仮性嚢胞、尾側の膵炎と診断した。絶飲食、輸液、予防的抗菌薬投与、蛋白分解酵素阻害剤の投与を行い、まずは保存的に縮小を期待したが、体部の仮性嚢胞は徐々に増大し膵尾部の液体貯留も被膜を形成していった。6週間後も縮小なく、ドレナージを行う方針となった。経乳頭的ドレナージを試みたが、炎症により主膵管が断裂しており嚢胞までカテーテルを進めることができなかったため、経消化管的ドレナージの方針となった。経過は良好で、膵酵素は低下し、嚢胞は縮小した。その後の再増悪もなく、食事開始後退院となった。【考察】本症例では、断裂した尾側の主膵管より漏出した膵液が仮性嚢胞を形成しており、持続的なドレナージが必要と診断した。経乳頭的なドレナージが困難であったため、経消化管的ドレナージを選択した。現在まで良好なドレナージ効果を得られている。【結語】近年膵仮性嚢胞に対し、経乳頭的なアプローチが困難な例で、EUS下経消化管的穿刺ドレナージが行われるようになってきている。効果的と考えられた症例を経験したので報告する。
索引用語 膵仮性嚢胞, EUS下ドレナージ