セッション情報 一般演題

タイトル

食道化膿性肉芽腫の一例

演者 吉田 武史(北海道大学院 消化器内科)
共同演者 清水 勇一(北海道大学院 消化器内科), 高橋 正和(北海道大学院 消化器内科), 大野 正芳(北海道大学院 消化器内科), 大森 沙織(北海道大学院 消化器内科), 鈴木 美櫻(北海道大学院 消化器内科), 小野 尚子(北海道大学病院 光学医療診療部), 中川 学(中川胃腸科), 森 康明(北海道大学院 消化器内科), 中川 宗一(中川胃腸科), 間部 克裕(北海道大学病院 光学医療診療部), 加藤 元嗣(北海道大学病院 光学医療診療部), 坂本 直哉(北海道大学院 消化器内科), 熊谷 磨理子(仙台循環器病センター 内科)
抄録  症例は60歳代の男性.2011年8月,高血圧症と脂質異常症で前医通院中に施行したスクリーニング目的の上部消化管内視鏡検査(EGD)にて,食道上部に約1cm大の隆起性病変を認め,生検にて血管腫が疑われた.精査加療のため同年11月に当科受診.外来で施行されたEGDでは,食道門歯から20cm下壁に22×11mm大の発赤調で光沢のある有茎性ポリープを認めた.ポリープは一部分葉状で白苔を有していた.前医で2010年に施行したEGDでは同部位に病変は指摘されておらず,比較的短期間に増大した可能性と,出血の危険を考慮し,ご本人と相談の上,2012年2月,内視鏡治療目的に入院となった. 同病変に対し、意識下鎮静にてEMRを施行し,出血予防のためクリッピングを行い終了した.切除標本は23×11×7mmのY-IVポリープで,病理組織標本では,重層扁平上皮下の粘膜固有層内に,毛細血管内皮細胞の巣状・分葉状の増生を伴う肉芽組織の形成を認め,さらに頂部側の上皮は剥離し,フィブリンの析出と炎症細胞浸潤を認め,化膿性肉芽腫(pyogenic granuloma)の診断であった.断端は陰性で,悪性所見は認めなかった.術後出血などの合併症なく退院した. 化膿性肉芽腫は,皮膚や口腔粘膜にみられることが多い後天性の良性血管腫であり,消化管発生例は極めて稀とされている.海綿状血管腫と異なり,急速に増大し出血のリスクを伴う事が報告されており,今回,内視鏡治療し得た一例を経験したので,若干の文献的考察も含めて報告する.
索引用語 食道化膿性肉芽腫, pyogenic granuloma