セッション情報 シンポジウム2 「肝胆膵疾患における画像診断の進歩」

タイトル

Smart Fusion を用いた肝腫瘍の診断と治療

演者 横浜 吏郎(旭川医療センター 総合内科)
共同演者 安尾 和裕(旭川医療センター 総合内科), 辻 忠克(旭川医療センター 総合内科), 辻 賢(旭川医療センター 消化器内科), 斉藤 裕樹(旭川医療センター 消化器内科), 松本 学也(旭川医療センター 消化器内科), 平野 史倫(旭川医療センター 消化器内科), 西村 英夫(旭川医療センター 消化器内科)
抄録 【目的】Toshiba APLIO500に搭載されたSmart Fusionは、CT・MRIのボリュームデータと超音波画像を、磁気センサーで位置情報を関連付けて表示することができる。この装置により、超音波だけでは同定が困難な病変をリアルタイムにCT・MRI画像と比較しながら検索することが可能となった。今回我々は同装置を用いた肝腫瘍の診断・治療について報告する。【目的】2012年12月から2013年6月までにSmart Fusionを用いて超音波検査を施行した、12症例13結節の肝腫瘍(肝細胞癌12結節、転移性肝腫瘍1結節)を対象とした。reference画像として、6例ではdynamic CTの動脈相を、2例ではdynamic CTの門脈相を、5例ではGd-EOB-MRIの肝細胞相を使用した。このうち8結節については、ソナゾイドによる造影超音波を同時に行った。また、10結節に対しては、検査同日あるいは後日改めて内科的局所療法を施行した。【成績】Smart Fusionを用いて、目標とした13結節全てを同定することができた。造影超音波でも同様に肝腫瘍を同定できたが、1結節では腫瘍深部の血流を確認できなかった。内科的局所治療を行った結節のうち、RFAを選択した7結節では、6結節でTE4が達成された。mass reduction目的の1結節も、目標部位を焼灼することができた。造影超音波と比較したSmart Fusionの長所として、1) 検査時の造影剤投与が不要で時間を気にせず描出に専念できる、2) 深部病変でも比較的描出能が保たれる、3) モニターに使用する超音波画像の分解能が良好といった点が挙げられる。その一方、1) 小病変ではreference画像との一致が困難である、2) 検査中に体位を変えることができない、3) CT・MRIの撮影後に臓器が変位するとreference画像との一致が困難となる、4) real-timeに実際の血流を確認できないことが欠点と思われた。【結論】Smart Fusionは肝腫瘍に対する診断・治療の精度を向上させる有力なtoolとなり得る。特に造影超音波との併用は、互いに機能を補うことによって、内科的局所療法の精度および安全性向上に寄与しうる。
索引用語 Smart Fusion, 造影超音波