セッション情報 一般演題

タイトル

上部消化管狭窄例に対するERCPの工夫 -ファーター乳頭到達困難例に対する回転把持鉗子先行法の有用性の検討-

演者 林 毅(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座)
共同演者 小野 道洋(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座), 石渡 裕俊(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座), 三浦 翔吾(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座), 岡川 泰(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座), 佐藤 勉(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座), 宮西 浩嗣(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座), 佐藤 康史(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座), 小船 雅義(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座), 瀧本 理修(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座), 加藤 淳二(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座)
抄録 【背景・目的】多くの胆道・膵疾患にERCPが必要となるが、上部消化管狭窄によりファーター乳頭への到達が困難な症例が少なからず存在する。狭窄の状況に応じた種々の工夫で通過が可能となることがあるが、確立された方法がないのが現状である。当施設における困難例の対処を検討した。【方法】ERCP時に上部消化管の狭窄により十二指腸鏡の通過が困難と判断した時点で同部に回転把持鉗子(オリンパス社製, FG-44NR-1)を挿入し、それを進行方向の軸の指標として内視鏡操作を行い狭窄部の通過を試みた。2011年4月-2013年4月までに実施されたERCPのうち、ビデオの見直しが可能であった症例から本法施行分を抽出し後方視的にその効果を検討した。【成績】402回のビデオ撮影がなされたERCPのうち12例 (M/F: 6/6, 年齢中央値: 65 (48-79), 狭窄部位: 胃/十二指腸=1/11, 狭窄の原因疾患: 膵癌/胆嚢癌/胃癌/大腸癌転移/術後良性狭窄/腎嚢胞=5/3/1/1/1/1)、19回 (4.7%) で本法が施行されていた。膵癌の1例は通過不能で、後に十二指腸ステントが留置されたが、18回 (94.7%) でファーター乳頭への到達と目的とする胆道処置が可能であった。このうち、14回で内視鏡挿入の際に腹臥位から左側臥位への体位変換が併用されていた。把持鉗子先行に関連する合併症はみられなかった。【結論】本法はファーター乳頭への到達困難例に有効であり安全に施行可能である。【付記】使用した回転把持鉗子は、把持の程度によって硬度が変化する。したがって、把持鉗子の挿入時には軽い把持で軟性を保つことができるため安全に狭窄・屈曲部に挿入が可能である。一方、十二指腸鏡の操作時には強く把持することで進行方向への軸の保持と内視鏡自体の硬度増加による直進性の向上が得られる。本会では手技の実際をビデオで供覧し解説する。
索引用語 ERCP, 把持鉗子