セッション情報 一般演題

タイトル

当科における切除不能進行胃癌に対するConversion therapyの適応と治療成績

演者 大沼 啓之(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座 (第四内科))
共同演者 佐藤 康史(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座 (第四内科)), 三浦 翔吾(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座 (第四内科)), 嘉成 悠介(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座 (第四内科)), 大須賀 崇裕(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座 (第四内科)), 平川 昌宏(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座 (第四内科)), 林 毅(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座 (第四内科)), 佐藤 勉(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座 (第四内科)), 宮西 浩嗣(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座 (第四内科)), 瀧本 理修(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座 (第四内科)), 小船 雅義(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座 (第四内科)), 信岡 隆幸(札幌医科大学 消化器・総合,乳腺・内分泌外科学講座 (第一外科)), 平田 公一(札幌医科大学 消化器・総合,乳腺・内分泌外科学講座 (第一外科)), 加藤 淳二(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座 (第四内科))
抄録 【目的】これまで我々は切除不能進行胃癌に対する一次治療としてDocetaxel+CDDP+S-1(DCS)併用療法を行い,conversionを達成し手術を施行後に長期生存が得られた症例を多数経験した.しかし,胃癌におけるconversion therapyの意義は未だ確立しているとは言えず,今回切除不能胃癌症例の背景・治療成績を後方視的に解析し,conversion therapyの可能性と至適集学的治療戦略について検討した.
【対象】2002年12月から2013年4月まで当科でDCS療法を施行した切除不能胃癌93例.化療後に非治癒切除因子が退縮した症例では原則根治目的の手術を行った.
【成績】DCS療法は中央値4コースが施行され奏効率は80.6%.Conversionが得られ手術を施行したのは93例中の32例で,切除例の年齢中央値63歳,M/F 22/10例,PS0/1/2 23/6/3例.非治癒切除因子は肝/腹膜/骨/卵巣/肺/M1LN 6/9/1/1/1/19例(重複あり). 1次療法後の手術例が26例,2次治療以降は6例であった.多変量解析でPS1以下と,非切除因子が1つのみであることが有意に切除に関与する因子であった.88.9%でR0切除が達成され,病理学的に77.8%でdown stageが確認された.重篤な術後合併症はみられなかった.術前化学療法施行数と予後に相関はなく,R0切除達成例においてPFS,OS共に良好であり,高度腹膜播種や骨転移例でも4年以上の無再発生存例がみられた.切除例の3年生存率は71.1%,MST 53.6Mと非切除例の16.5%,MST 15.8Mと比し有意(p<0.0001)に予後が良好であり,全症例の多変量解析ではadjuvant surgeryの有無とPSが最も強力な予後因子であった.
【結語】切除不能胃癌においても強力な化学療法によるconversionの達成とadjuvant surgeryにより長期生存と治癒を目指せる可能性がある.術前化学療法施行数に関わらずR0手術が達成されれば予後は良好であり,conversionが得られた時点で手術を考慮すべきと考えられた.
索引用語 胃癌, conversion