セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル

内視鏡的拡張術が有効であった食道壁内偽憩室症の1例

演者 小田切 信介(市立旭川病院 消化器病センター)
共同演者 小澤 賢一郎(市立旭川病院 消化器病センター), 杉山 隆治(市立旭川病院 消化器病センター), 川内 宏仁(市立旭川病院 消化器病センター), 中村 和正(市立旭川病院 消化器病センター), 鈴木 聡(市立旭川病院 消化器病センター), 助川 隆士(市立旭川病院 消化器病センター), 千葉 篤(市立旭川病院 消化器病センター), 垂石 正樹(市立旭川病院 消化器病センター), 斉藤 裕輔(市立旭川病院 消化器病センター)
抄録 60歳代女性。幼少期からしばしば嚥下障害を自覚していたが、自然に軽快するため放置していた。2011年9月検診の上部消化管造影検査で食道アカラシアが疑われ当科受診。上部消化管内視鏡検査にて下部食道の狭窄は認めるものの、粘膜面はほぼ正常、食道拡張や食物残渣の停滞など、アカラシアを積極的に疑う症状に乏しく確定診断には至らなかった。食道造影検査では下部食道のなだらかな狭窄と痙攀様の食道壁不整を認めるが、バリウムは停滞せず、胃への流出は良好だった。び漫性食道痙攀症と考え鎮痙剤・抗不安剤・Ca拮抗剤の調整で対応していた。しかし2013年5月中旬から狭窄症状が悪化したため精査加療目的で入院となった。再検した食道造影検査にて下部食道の狭窄と微小なフラスコ型のバリウム突出像を認め、内視鏡では食道カンジダ症と微小憩室の開口部が確認され、食道壁内偽憩室症と診断した。食道カンジダ症の治療としてミコナゾールの服用を行ったが効果はなく、内視鏡的バルーン拡張術を施行。口径15mmまで拡張し自覚症状が改善したため退院となった。食道壁内偽憩室症は、食道腺の導管や腺が嚢胞状に拡張したことに由来し、偽憩室周囲の炎症、繊維化により食道狭窄が形成され、嚥下困難を主な症状とする疾患である。特徴的な造影所見を呈するが、比較的まれなため、治療法も確立されたものがない。本症例は内視鏡的拡張術が有効だった一例として報告する。
索引用語 食道狭窄, 内視鏡的食道拡張術