セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル

鋸歯状腺腫に併存した大腸低分化腺癌の一例

演者 赤保内 正和(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座)
共同演者 村上 佳世(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 福田 昂一郎(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 一色 裕之(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 小野寺 馨(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 齊藤 真由子(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 山本 英一郎(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 能正 勝彦(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 山下 健太郎(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 有村 佳昭(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 篠村 恭久(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座)
抄録 症例は64歳,女性.合併症に関節リウマチと間質性肺炎.2012年11月,前医にてS状結腸の径20mm大の隆起性病変に対して内視鏡的粘膜切除術が行われた.病理組織学的所見では,鋸歯状腺腫に併存して低分化腺癌のSM深部浸潤を認めた(por1,SM2以深,INFb,med,ly1,v1,HM1,VM1).追加腸切除を行う方針となり,同年11月に当科紹介となった.内視鏡治療時のCTでは明らかな肝転移は認めていなかったが,術前精査として同年12月(内視鏡治療より第44病日)に施行したCTにて多発肝転移の出現を認めた.当初は化学療法を希望されていなかったが,急激な肝転移増悪に伴い腹痛が出現したため,症状緩和目的に化学療法を行う方針となった.2013年2月(第99病日)よりcapecitabine+bevacizumab併用療法を開始したが,1コース終了時に腹痛の増悪,全身状態の低下を認め,臨床的増悪と判断し,化学療法は中止とした.以後は緩和ケアの方針とし,同年3月(第148病日)に原病のため永眠された.鋸歯状腺腫の癌化率については様々な報告がなされているが,明らかではない.鋸歯状腺腫に併存した癌について,癌成分は粘膜内成分よりも粘膜下層浸潤成分の方が大きいとの報告や,浸潤部では粘液癌や低分化腺癌成分へ進展することが多いとの報告がある.また,鋸歯状腺腫由来で急速に進行した大腸癌の報告もみられる.本症例では,鋸歯状腺腫由来と推測される大腸低分化腺癌に対して内視鏡的切除を行った後に,臨床的に急激な悪化の経過をたどった.内視鏡所見と臨床経過,分子病理学的所見を含めて報告する.
索引用語 鋸歯状腺腫, 大腸低分化腺癌