セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル

imatinibが奏効したPDGFRA遺伝子変異を伴う胃原発GISTの1例

演者 松田 千佳(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座)
共同演者 小野寺 馨(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 山下 健太郎(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 福田 昂一郎(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 赤保内 正和(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 一色 裕之(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 村上 佳世(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 斉藤 真由子(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 山本 英一郎(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 能正 勝彦(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 有村 佳昭(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 長谷川 匡(札幌医科大学 病理部), 篠村 恭久(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座)
抄録 【症例】症例は42歳,男性.2010年10月,腹痛を契機に前医で胃腫瘍を指摘された.精査にてT細胞型胃原発悪性リンパ腫と診断され,2010年12月に胃全摘術が施行された.病理組織所見ではGISTが疑われたが,c-kit陰性・CD34陰性であり診断確定に至らず,さらなる精査目的に当科紹介となった.免疫染色にてPDGFRA陽性であり,遺伝子検索にてPDGFRA遺伝子exon12のV561D変異と判明した.胃原発GIST,pT4N0M0,Stage IIと診断,腫瘍径11cm・核分裂像4/50HPFsでありFletcher分類:high risk群であった.術後補助化学療法の適応であったが,診断確定時にすでに術後6ヶ月が経過していたこと,本人が希望されなかったことから,術後補助化学療法は行わずに経過観察の方針となった.しかし,術後24ヶ月目の2012年12月,多発肝転移をきたし,imatinib 400mg/dayによる薬物療法を開始した.治療開始2ヶ月後のCTにて肝転移はいずれも縮小し,液状変性を伴っていた.6ヶ月後のCTでは肝転移はさらに縮小しており,治療効果はPRと考えた.有害事象はGrade 1の下痢を認めるのみであり,減量・休薬を要することなくimatinib による治療を継続中である.【考察】GISTの診断においては免疫染色によるKIT陽性あるいはCD34陽性が重要な所見であるが,自験例のようにKIT陰性かつCD34陰性のGISTも報告されており,GISTが疑われるも病理組織学的・免疫組織学的に診断に難渋する場合にはKIT,PDGFRAの遺伝子検索を考慮する必要がある.PDGFRA遺伝子変異はGISTの約10%と少なく,しかもそのほとんどはimatinib抵抗性であるexon18のD842V変異であり,imatinib感受性であるexon12の変異例はまれとされている.今回われわれはimatinibが奏効したPDGFRA遺伝子変異を伴う胃原発GISTの1例を経験したので報告する.
索引用語 胃原発GIST, PDGFRA遺伝子変異