セッション情報 一般演題

タイトル

膵頭部癌術後11年7ヶ月後に診断した異時性膵癌の1例

演者 河本  徹(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科)
共同演者 柳川 伸幸(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科), 高橋 慶太郎(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科), 藤永 明裕(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科), 立花 靖大(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科), 佐藤 智信(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科), 後藤 充(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科), 斉藤 義徳(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科), 折居 裕(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科), 櫻井 宏治(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 臨床検査科), 柴田 好(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 消化器科)
抄録 症例は73歳男性。2000年7月に膵頭部癌に対してPPPDを施行し、pStageIII(Tublar adenocarcinoma, tub1, t2, 1.8x1.7cm, intermediate type, INFβ, ly2, v2, ne0, mpd(-), s0, rp0, ch2, du1, pv0, a0, p1(-), pw(-), bdm(-), n(+);#8a)であった。膵管断端には異型上皮も認めず、術後は経過観察及び糖尿病加療目的に当院代謝内科および外科外来通院を継続していた。その後2007年11月のCT上残膵に異常所見を認めなかった。2011年10月、発熱と黄疸のため近医から紹介となり総胆管結石に伴う胆管炎の診断で当科へ入院。この際のCT上遺残膵尾部に造影効果の乏しい腫瘤性病変を認めた。同病変はFDG-PETでは軽度の集積を認めるのみであり、病理組織学的確定診断目的でEUS-FNAを施行した。膵胃吻合術後の残膵病変であるため経胃的に22G ECHO Tipで3回穿刺を施行するも病理組織学的に癌と診断するに至らなかった。厳重経過観察のもと2012年1月に再度FDG-PETを施行し膵尾部病変へのFDGの集積は軽度増強しており、CT上病変の増大を認めたため、病理組織学的確定診断目的で再度EUS-FNAを施行。19G ECHOTipで3回穿刺を施行し、高分化型腺癌の確定診断に至り、2012年3月に残膵全摘術及び脾臓摘出術を施行した。病理組織学的には前回手術の切離断端から37mm離れた膵尾部に病変が存在しており、異時性膵癌と考えられた。術後経過は良好であり、現在術後1年3ヶ月経過している現在も当院外来通院を継続中である。本症例は初回手術より11年3ヶ月後に異時性膵癌の確定診断に至っている。2回の手術の各々の切除断端からはいずれも悪性細胞が認められておらず、空間的時間的連続性がなく10年以上の経過を追う事ができた異時性膵癌は非常に稀であり文献的考察を含め今回報告する。
索引用語 膵癌, 異時発生