セッション情報 一般演題

タイトル

胆管炎を繰り返した粘液産生胆嚢癌の一例

演者 岡川 泰(札幌医科大学 腫瘍・血液内科)
共同演者 石渡 裕俊(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 林 毅(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 三浦 翔吾(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 小野 道洋(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 佐藤 勉(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 宮西 浩嗣(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 佐藤 康史(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 瀧本 理修(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 小船 雅義(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 木村 康利(同 消化器・総合、乳腺・内分泌外科), 平田 公一(同 消化器・総合、乳腺・内分泌外科), 中西 勝也(同 病理部), 長谷川 匡(同 病理部), 奈良崎 亘(千歳市民病院 消化器科), 渡辺 秀樹(千歳市民病院 消化器科), 加藤 淳二(札幌医科大学 腫瘍・血液内科)
抄録 粘液産生胆嚢癌とは癌取扱い規約に明確な記載はないものの、腫瘍細胞から胆嚢内腔へ多量の粘液が分泌され、粘液閉塞により特有な臨床症状ないし特徴的画像所見を呈する胆嚢癌と定義され、非常に稀な疾患である。今回、胆嚢炎、胆管炎を繰り返し、精査の結果、粘液産生胆嚢癌が疑われ手術を施行した一例を経験したので報告する。症例は60歳台、男性。平成25年2月、胆嚢炎の診断で前医に入院した。胆嚢内に明らかな結石を認めず、保存的治療により軽快した。炎症改善後に施行されたEUSでは胆嚢底部に胆嚢腺筋腫症を疑う所見を疑う所見を認めたが、内側低エコー層の肥厚があり、1か月後の画像検査を予定し退院となった。しかし、同年3月および4月に発熱と肝機能障害を認め、胆管炎を発症し、その際のERCにて総胆管内に粘液と考えられる透亮像を認め、粘液産生胆道腫瘍が疑われたため、当科紹介となった。CTでは胆嚢底部に造影効果を有する壁肥厚を認めた。腹部超音波検査では同部位に乳頭状腫瘍を認め、胆嚢内腔には粘液と思われる綿状の高エコー域を認めた。ENGBDを留置し内容液を吸引したが粘液の排出は認めなかった。また洗浄胆嚢内胆汁細胞診を数回施行したが、いずれもclass2であった。画像上は胆嚢癌が疑われること、多量に産生された粘液により胆管炎を繰り返していたことから、当院第1外科にて胆嚢摘出術+胆嚢床切除術を施行する方針となった。手術待機中に再度発熱と肝機能障害を認め、胆管炎の診断でERCを施行した。乳頭は粘液により開大しており、胆管造影では総胆管内に透亮像を認め、ENBDを留置した。摘出した胆嚢内には粘液の充満を認め、病理組織学的にも豊富な粘液産生を認めた。最終診断はtubular adenocarcinoma,T1N0M0,Stage1であった。術後、胆管炎の再発は認めず、経過観察中である。
索引用語 胆嚢癌, 粘液