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タイトル

Patency capsuleの消化管開通性判定とCEの排出確認不能症例における低線量CTの有用性

演者 藤田 朋紀(小樽掖済会病院 消化器病センター)
共同演者 小松 悠(小樽掖済会病院 消化器病センター), 北岡 慶介(小樽掖済会病院 消化器病センター), 和賀 永里子(小樽掖済会病院 消化器病センター), 高梨 訓博(札幌医科大学第四内科), 勝木 伸一(小樽掖済会病院 消化器病センター), 加藤 淳二(札幌医科大学第四内科)
抄録 【背景・目的】2012年7月よりPatency capsuleが保険収載となりCEの保険適応が広がった.しかし,既報では約30~40%とされる33時間以内にPatency capsuleが排出されなかった症例の大腸到達の判定は,腹部レントゲンの平面視では確実性に欠ける.一方,CTは,位置確認には有用であるが,レントゲン検査(1.2mSv)に比べ,被曝(7.6~15mSv)が懸念される.当院では2012年12月より低線量CT(以下LR-CT)で消化管開通性判定を行っており2013年1月より北海道腸疾患研究会・北海道小腸疾患研究会などでその経験を初めて報告した.最近はさらに腹部レントゲンとCTの位置確認目的の撮影を省略.LR-CT単独での確認を行っている.また,足側からの撮像を行い,CEを確認した時点で撮像を中止し,さらなる被爆量軽減を図っている.今回,本学会でその有用性を報告する.【LR-CT撮像方法】健常ボランティアを用い,LR-CTを施行し,腸管壁描出性と被曝量を検討した.線量の算出は標準的なEUR 16262の基準に従い、CT撮影後に得られたDLP値に腹部撮影時の係数0.015を掛けて計算した.【対象】2012年12月から2012年3月までにPatency capsuleを投与した19症例中,33時間以内にPatency capsuleが排出されなかった3症例とCE後に排出を確認できなかった3症例の計6症例.【成績】(1)健常ボランティアでの検討では,線量0.24mSv以下では,直腸壁の描出が著しく不明瞭になることが判明した.(2)33時間以内にPatency capsuleが排出されなかった3症例中2症例は,腹部レントゲンの結果,capsuleが骨盤内に存在し,直腸か回腸かの判定が困難であった.LR-CT(0.387~2.1mSv)を行った結果,各々直腸・回腸である事が確認された.1症例はLR-CT(0.666mSv)単独での判定を行い,直腸である事が確認された.(3)CE後に排出が確認できずLR-CT(0.762~0.894mSv)を施行した3症例は,CEが排出または直腸に存在している事が確認された.【結論】LR-CTはcapsuleの位置確認に優れ、放射線被爆の観点からも優れた評価法であると思われる.
索引用語 カプセル内視鏡, 小腸