セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル

造影検査が診断に有用であった潰瘍性大腸炎合併直腸狭窄の1例

演者 藤山 朋代(市立旭川病院)
共同演者 川内 宏仁(市立旭川病院), 杉山 隆治(市立旭川病院), 中村 和正(市立旭川病院), 助川 隆士(市立旭川病院), 小澤 賢一郎(市立旭川病院), 千葉 篤(市立旭川病院), 垂石 正樹(市立旭川病院), 斉藤 裕輔(市立旭川病院)
抄録 【症例】48歳男性。【主訴】便が細い【現病歴】H18年12月に血便が出現し、H19年2月に左側大腸炎型の潰瘍性大腸炎の診断となった。ステロイド注腸と5-ASA内服で寛解したが、以後は直腸に限局した慢性持続型となり、ステロイド注腸や坐剤の使用を適宜使用していた。H21年2月からは5-ASAの注腸と内服となった。H22年、H23年の大腸内視鏡検査では直腸に限局したMatts’2の炎症を認めるも著変はなく、狭窄所見も認められなかった。H24年9月から便が細くなったことを自覚した。しかし、その他に自覚症状はなく、大腸内視鏡検査の予定となるも、仕事の都合で延期となった。H25年4月に大腸内視鏡検査が行われたところ、下部直腸に狭窄が認められ、大腸内視鏡は通過しなかった。Colitic cancer疑いにて精査加療目的で入院となった。
【入院後経過】大腸内視鏡では粘膜面に悪性所見は明らかではなく、超音波内視鏡検査でも壁構造は保たれていた。後日の大腸内視鏡検査時と合わせた2回の生検でも悪性所見は認められなかったが、癌の疑いは捨てきれなかった。注腸造影検査にて硬化像を伴わない短い範囲の狭窄が描出され、良性狭窄と診断し現在も経過観察中である。
【考察】潰瘍性大腸炎の良性狭窄は比較的稀とされており、粘膜下層以深の線維化などが原因とされる。本症例の狭窄原因は明らかではないが、直腸に限局した炎症の持続に加えて、長期にわたる注腸療法の物理的刺激も狭窄を引き起こした要因の可能性を考えた。潰瘍性大腸炎の経過例における狭窄病変は常に悪性の鑑別が重要であるが、本症例は各種検査でも悪性所見は明らかではなく現時点では良性狭窄と判断した。しかしながら、今後も悪性所見の出現に十分注意して慎重な経過観察が必要である。
索引用語 良性狭窄, 潰瘍性大腸炎