セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル

非典型的な染影パターンを示した中分化型肝細胞癌の1例

演者 川浪 康太郎(北海道社会保険病院 消化器センター 消化器内科)
共同演者 古家 乾(北海道社会保険病院 消化器センター 消化器内科), 馬場 英(北海道社会保険病院 消化器センター 消化器内科), 小泉 忠史(北海道社会保険病院 消化器センター 消化器内科), 定岡 邦明(北海道社会保険病院 消化器センター 消化器内科), 関谷 千尋(北海道社会保険病院 消化器センター 消化器内科), 数井 啓蔵(北海道社会保険病院 外科), 中西 一彰(北海道社会保険病院 外科), 市川 伸樹(北海道社会保険病院 外科), 服部 淳夫(北海道社会保険病院 病理部)
抄録 症例は70代男性.平成23年11月に検診で肝障害とメタボリック症候群を指摘され.平成24年1月初診.腹部エコーで脂肪肝と肝弾性度10.5kPaより,NASHと診断され,外来で食事療法をしながら経過観察となった.同年12 月近医のエコーで肝腫瘤を指摘され紹介となった.既往歴では脂肪肝と高血圧症を認めた.飲酒歴はなく,前喫煙者であった.身長172.5 cm, 体重 77.2kg, BMI 26.7と軽度の肥満を認めた.血液検査では,WBC 3820/μl, Hb 10.8 g/dl, Pl 27.2万/μl, Tb 1.8 mg/dl, Alb 4.4 g/dl, AST/ALT/rGTP 43/53/64 U/l, PT 60.3%, PIVKA-II 186 mAU/l, AFP, CEA, CA19-9は正常範囲,HCVAbとHBsAgは陰性であった.腹部エコーでは門脈右枝と前区枝の腹側のS4に肝外に突出するような47.2x37.1mmの中心ややhigh echoicで辺縁がiso-low echoicの腫瘤を認めた.辺縁には動脈性血管が走行し,中間静脈を頭側右側に圧排していた.Dynmic CTでは,単純でlow, 動脈相で辺縁が淡く不正に造影された.門脈優位相から平衡相にかけて求心性に徐々に腫瘍全体が濃染されていったが,中心部はLDAの部分が残存した.EOB-MRIではT1 low, T2 high, 一部にvery high, dynamicのvascular phaseではCTと同様の染影パターンで,肝細胞相ではlow intensityを示した.ソナゾイド造影エコーでは血管層では動脈~平行相にかけて求心性に腫瘍全体が遷延性に造影される経過がより鮮明に描出され,後血管相では辺縁がlow,中心部high echoicなパターン示した.硬化型肝癌,混合型肝細胞癌,細胆管癌などを疑った.T2N0M0, Stage II, Child A(6点),LHL15 0.91として拡大内側区切除を行った.病理所見は著明なpeliotic changeを伴う中分化型肝細胞癌であった.非典型的な染影パターンをとった原因について考察する.
索引用語 肝細胞癌, peliosis