セッション情報 一般演題

タイトル

切除不能進行胃癌に対するDCS-Trastuzumab(DCS-T)療法によるconversion therapyの可能性

演者 佐藤  康史(札幌医科大学 腫瘍・血液内科)
共同演者 大沼  啓之(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 平川  昌宏(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 佐川  保(北海道がんセンター 消化器内科), 佐藤  康裕(北海道がんセンター 消化器内科), 高橋  康雄(北海道がんセンター 消化器内科), 勝木  伸一(小樽掖済会病院 消化器病センター), 奥田  敏徳(王子総合病院 消化器科), 林  毅(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 佐藤  勉(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 宮西  浩嗣(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 瀧本  理修(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 小船  雅義(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 信岡  隆幸(札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科), 平田  公一(札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科), 加藤  淳二(札幌医科大学 腫瘍・血液内科)
抄録 【背景】近年、切除不能大腸癌においても化学療法により切除可能とする(conversion)ことが出来れば、予後向上が期待できることが明らかになってきた。しかし、胃癌治療におけるconversion therapyの意義は不明である。これまで我々は、Docetaxel/CDDP/S-1を併用したDCS療法を開発し高い奏効率を報告してきた。また、近年HER2陽性胃癌に対するTrastuzumabの有効性も報告されている。そこで、我々は切除不能進行胃癌に対するconversion therapyを目指しDSCとTrastuzumabを 併用するDCS-T療法の認容性試験を行っている。【方法】対象は20歳から80歳のHER2陽性切除不能進行再発胃癌症例で心機能正常例。方法はS-180 mg/m2、day8にCDDP 60mg/m2とDocetaxel 50 mg/m2およびday8にTrastuzumab(初回8mg/kg,2回目以降は6mg/kg)を3週毎に投与した。【成績】年齢中央値は60歳(50-71歳)、男性/女性:10/4名、PS0/1/2が8/4/2名、組織型は分化型/未分化型が11/3例、部位はU/M/L:3/3/3例、T3/T4a/T4b:10/3/1例、N0/N1 /N2/N3:2/0/2/10例、遠隔リンパ節/肝/腹膜/肺/骨/卵巣転移:10/7/3/2/1/1例であった。2臓器以上の転移巣は50% (7例)に見られた。RECISTによる抗腫瘍効果は全例PR(奏効率100%)であった。Grade3以上の有害事象は白血球/好中球減少は71/85%、FN 7%、食欲不振28%、下痢28%でいずれも管理可能であった。現時点で14例中8例において非治癒因子が消失し2例の肝転移症例を含む5例(36%)で R0切除が施行され組織学的効果はgrade 1b以上が80%であった。観察期間中央値は8.5M (2-20.7M)であるが全例生存中である。【結語】HER2陽性手術不能胃癌に対しDCS-T療法は、極めて高い奏効率と治癒切除率が得られたことからconversion治療を期待できる有望な治療法となる可能性がある。
索引用語 胃癌, 化学療法