セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル

高周波凝固で内視鏡的に止血しえた十二指腸憩室出血の1例

演者 瀧本 理子(名寄市立総合病院)
共同演者 井尻 学見(名寄市立総合病院), 芹川 真哉(名寄市立総合病院), 杉山 祥晃(名寄市立総合病院), 鈴木 康秋(名寄市立総合病院)
抄録 【症例】80歳代、女性。高血圧、認知症にて近医通院中で抗血栓薬内服中であった。3日前より短時間の意識消失発作を繰り返すため、心原性失神が疑われ当院循環器内科受診。心エコー、心電図は異常なく、Hb 5.7と高度貧血があり、タール便を認めたため当科紹介となった。緊急上部消化管内視鏡検査を施行したところ、胃から十二指腸下降脚までには明らかな血液残渣や出血源となる病変は認めなかった。しかし、十二指腸水平脚まで観察したところ、水平脚にある十二指腸憩室より潰瘍や露出血管を伴わない活動性出血を認めた。内視鏡での視認性が不良であり、クリップによる止血は困難と判断し、出血部位及びその近傍を高周波凝固にて焼灼し止血しえた。その後は再出血なく経過し第12病日に退院となった。【考察】十二指腸憩室は消化管憩室では大腸についで多く見られるが、大半は無症状に経過し、直径10mm以上のものでは出血、憩室炎、穿孔などの合併症の頻度が増加する。しかし、出血することは稀であり、上部消化管出血のわずか0.07%と報告されている。さらに本症例のように水平脚からの出血は、十二指腸憩室出血の約31%と報告されている。十二指腸憩室出血はクリップなどによる内視鏡的止血が多く行われているが、高周波凝固を用いて止血した報告は少ない。【結語】十二指腸水平脚の憩室出血の1例を経験した。十二指腸水平脚の憩室出血は診断や内視鏡的止血操作が困難な例もあるが、高周波凝固により内視鏡的に止血しえたので報告する。
索引用語 十二指腸憩室出血, 内視鏡