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タイトル

胆管狭窄に対する胆管内留置用チューブステントIT stentの有用性に関する多施設共同研究

演者 石渡 裕俊(札幌医科大学 腫瘍・血液内科)
共同演者 高橋 邦幸(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 桑谷 将城(北海道大学 消化器内科), 小山内 学(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 潟沼 朗生(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 河上 洋(北海道大学 消化器内科), 林 毅(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 真口 宏介(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 坂本 直哉(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 加藤 淳二(札幌医科大学 腫瘍・血液内科)
抄録 【背景】胆管狭窄に対するチューブステント(TS)の胆管内留置法は,専用のTSがないことが問題の一つであったが,近年逸脱予防と抜去を考慮した胆管内留置用TS(IT stent、Gadelius Medical)が使用可能となり、札幌医大病院における切除不能悪性肝門部狭窄を対象とした後方視的な検討からは,その成績は良好であった(Digestive Endoscopy2013)。今回,前向きにIT stentの有用性,安全性を評価することを目的として本研究を行った。【方法】2012年4月から2013年5月の間に上記3施設において,胆管狭窄に対する初回内瘻術として,IT stentを用いた胆管内留置法を行った症例を対象とした。ESTの有無,狭窄部位,ステント本数,偶発症,開存期間(Time to dysfunction: TTD)、容易な抜去成功率を狭窄原因(悪性[(1)術前,(2)非切除],(3)良性)ごとに検討した。【結果】(1)術前悪性14例:EST施行例は4例(29%)。狭窄部位は中上部4,肝門部10(Bismuth1/2/3/4:3/6/0/1)例で,本数は全例1本であった。留置後早期偶発症(30日まで)は胆嚢炎1,胆管炎5例であり,後期偶発症(30日以降)は胆管炎2例で、逸脱は認めなかった。 TTD中央値は21日であった。抜去は12例に行い,11例で容易に抜去可能であった。(2)非切除悪性21例:EST施行例は4例(19%)。部位は中上部1,肝門部19(5/2/5/7),肝内1例で,本数は1本9,2本9,3本3例。早期偶発症は軽症膵炎1,胆管炎2(逸脱1)例で後期偶発症は黄疸・胆管炎6例(逸脱0)であった。 TTD中央値は95日であった。抜去は10例に行い全例で容易に抜去可能であった。(3)良性14例:EST施行例は5例(36%)。部位は肝門部7(2/2/1/2),肝内7例。本数は1本11,2本3例であった。早期偶発症は胆嚢炎1,後期偶発症は黄疸・胆管炎2例で、逸脱は認めなかった。TTD中央値は173日であった。抜去は6例に行い5例で容易に抜去可能であった。【考案】 IT stentは逸脱は非常に少なく容易に抜去可能であり,胆管内留置用TSとして良好な性能を有している。
索引用語 胆道狭窄, 胆管内留置法