セッション情報 シンポジウム2 「肝胆膵疾患における画像診断の進歩」

タイトル

造影超音波による小肝細胞癌治療後再発予測に関する検討

演者 玉木 陽穂(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野)
共同演者 麻生 和信(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 岡田 充巧(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 須藤 隆次(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 太田 雄(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 大竹 晋(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 高添 愛(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 鈴木 裕子(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 今澤 雅子(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 山北 圭介(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 北野 陽平(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野), 羽田 勝計(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野)
抄録 【背景】肝細胞癌肉眼型が予後と相関することはよく知られているが、造影CTによる正診率は満足いくものではなかった。近年造影USが肝癌肉眼型診断に有用であるとの報告が散見されるが実際に予後予測に有用であるかの検討は十分になされていないのが現状である。今回我々は3cm以下の肝細胞癌再発予測における造影USの有用性について検討を行ったので報告する。【方法】1) 造影USの肉眼型正診率の検討は2007年1月から2010年1月に肝切除術を施行した多血性肝細胞癌19例22結節(単純結節型9結節、単純結節周囲増殖型8結節、多結節癒合型5結節)を対象に行った。血管相で小結節集簇を示さないものを1型、示すものを2型とし、さらに1型のうち後血管相で円形の陰影欠損を呈するものを1a型、不整形の陰影欠損を呈するものを1b型に細分類した。2) 再発予測の検討は2007年1月から2011年8月に肝切除もしくはラジオ波焼灼療法で治療した3cm以下の多血性肝癌32例(平均観察期間31.8ヵ月)について無再発生存期間をKaplan-Meier法で求めLog-rank testで検定を行った。再発予測因子についてCox比例ハザードモデルを用いて単変量及び多変量解析を行った。【結果】1)1a型を単純結節型、1b型を単純結節周囲増殖型、2型を多結節癒合型とみなした場合の正診率はそれぞれ91%、87%、95%であった。2 )治療前の造影US所見により1a型(19例)と非1a型(13例)の2群にわけて検討した。無再発生存期間中央値は1a型41.4ヵ月に対し非1a型 16.8ヵ月であり、両群間で有意差を認めた(p=0.0048, Log-rank test)。再発に関する因子の検討では単変量解析では造影超音波肉眼型(p=0.09)とヒアルロン酸(p=0.037)が有意な因子として抽出されたが、多変量解析では造影超音波肉眼型のみが有意な因子として抽出された。【結語】造影USは肝癌肉眼型の正診率が高く、3cm以下の小肝癌の治療前の再発予測に有用な可能性がある。
索引用語 造影超音波, 肝癌肉眼型