セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル

慢性下痢症例に対する大腸粘膜生検の検討

演者 齋藤 敦(札幌東徳洲会病院消化器センター)
共同演者 松原 悠(札幌東徳洲会病院消化器センター), 巽 亮二(札幌東徳洲会病院消化器センター), 好崎 浩司(札幌東徳洲会病院消化器センター), 坂本 淳(札幌東徳洲会病院消化器センター), 佐藤 龍(札幌東徳洲会病院消化器センター), 網塚 久人(札幌東徳洲会病院消化器センター), 木村 圭介(札幌東徳洲会病院消化器センター), 太田 智之(札幌東徳洲会病院消化器センター)
抄録 【目的】4週以上続く下痢は慢性下痢と定義され、その原因は多岐に及ぶ。今回我々は慢性下痢の患者に器質的疾患の除外目的で下部消化管内視鏡検査(CS)を施行し、内視鏡所見が非特異的で正常に近い場合に大腸粘膜生検を行い、その病理検査結果から導かれる慢性下痢の原因を検討した。【方法】2007年11月から2013年3月までの期間、非血性の慢性下痢を主訴として来院した患者に対しCSを行い、内視鏡所見で明らかな感染性腸炎や炎症性腸疾患の所見がない症例を対象に、上行結腸、横行結腸、直腸の3か所からランダムに大腸粘膜生検を行い、その病理検査結果を検討した。【結果】症例は120例(M/F=72/48)、平均47.2歳であった。内視鏡診断は、重複を含め多い順から異常なし 45例、軽度の発赤・びらん18例、粘膜浮腫10例、毛細血管異常7例、その他(ポリープ、痔疾、憩室、白斑など)70例であった。病理検査結果は、non-specific colitis 48例(40.0%)、collagenous colitis 6例(5.0%)、intestinal spirochetosis 2例(1.7%)、ischemic colitis 1例(0.8%)、non-remarkable colonic mucosa 63例(52.5%)であった。再度内視鏡所見を見直したところ、collagenous colitisと診断された症例では6例中2例に粘膜浮腫、毛細血管異常のminimal changeが指摘でき、intestinal spirochetosisでは2例中1例に回盲部びらんを認めた。【結論】慢性下痢におけるランダム生検にて6.7%の器質的疾患(collagenous colitisとintestinal spirochetosis)が認められた。詳細な内視鏡観察で拾い上げの可能性はあるが、本症状の患者に対しては積極的な大腸粘膜生検が推奨される。
索引用語 慢性下痢, 病理学的診断