セッション情報 一般演題

タイトル

膵癌剖検例における胆道ステント留置症例の病理組織学的検討

演者 高木 智史(札幌社会保健総合病院 消化器科)
共同演者 今井 亜希(札幌社会保健総合病院 消化器科), 藤澤 倫子(札幌社会保健総合病院 消化器科), 吉田 純一(札幌社会保健総合病院 消化器科)
抄録 当院で過去10年間に施行された膵癌剖検例において、閉塞性黄疸のため胆道ステントが留置された症例が6例あった。いずれも内視鏡的胆道ドレナージ術が施行されており、臨床経過、および病理組織学的所見につき検討した。男性3例、女性3例であり、平均年齢は73.1歳であった。Plastic stent(PS)留置が2例、Uncovered MS(UMS)が3例、Covered MS(CMS)が1例であった。病理組織学的には管状腺癌が5例、腺扁平上皮癌が1例であった。胆道開通試験では4例に開存が確認された(PS 1例、UMS 2例、CMS 1例)。2例では胆管が閉鎖していたが(PS 1例、UMS 1例)、1例では心筋梗塞が、1例では肝転移による肝不全が直接死因となっており、胆道閉鎖が直接の死因とは関連していなかった。留置期間は、PSで平均82日、UMSでは平均6.6カ月、CMSでは10カ月であった。CMSの症例では胆道の開存が確認されたが、腫瘍のingrowthによる胆汁うっ滞、難治性の胆管炎から高度の黄疸が引き起こされ肝不全に至ったものと考えられた。UCMで開存が確認された一例でも肝膿瘍を形成していた症例があった。膵癌は診断時にすでに切除不能であることが多いが、胆道ステントを使用する場合には、予想される臨床経過や予後等を考慮し病態に応じた治療を行うことが必要であると考えられた。
索引用語 膵癌, 胆道ステント