セッション情報 一般演題

タイトル

胆嚢小細胞癌と右乳癌の重複癌に対してCBDCA+VP-16とHERの追加投与が有効であった一例

演者 藤田 弘之(網走厚生病院)
共同演者 小野寺 学(網走厚生病院), 松田 可奈(網走厚生病院), 川岸  直樹(網走厚生病院), 佐野  逸紀(網走厚生病院), 阿部  暢彦(網走厚生病院), 内田  多久實(網走厚生病院), 藤永 明(網走厚生病院)
抄録 症例は73歳女性。201X年1月頃より右季肋部痛と嘔吐を認め、1月12日当院を受診した。造影CTにて胆嚢壁に造影効果を伴う壁肥厚と胆嚢周囲の肝への浸潤像と肝十二指腸間膜内リンパ節(#12)の腫大,右乳房C領域にφ38mm大の腫瘤と右腋窩リンパ節の腫大を認めた.初めに精査時のEUSにて#12リンパ節腫大に対してEUS-FNAを施行し,small cell carcinomaと診断した.次に肝腫瘤部と右乳腺腫瘍に対して経皮的針生検を施行し,肝はsmall cell carcinoma,右乳腺はinvasive carcinoma,HER2陽性と診断した.画像所見より胆嚢原発の小細胞癌と考えられたため,原発性胆嚢小細胞癌(cT4,N2,H1,P0,M0,stage IVb),原発性右乳癌(cT3,N1,M0,stage IIIA)の重複癌と診断した.予後規定因子は胆嚢小細胞癌と考えられ,小細胞肺癌の化学療法に準じてCBDCA+VP-16を選択した.2コース投与後のCTにて胆嚢癌の縮小を認め効果判定はPR,右乳癌はSDであった.胆嚢癌のコントロールが期待できたため,右乳癌がHER2陽性であったことから,3コース目からHERを追加して化学療法を行うことにした.4コース終了後のCTでは胆嚢癌に更なる腫瘍縮小効果,右乳癌も腫瘍縮小効果を認めた.現在も化学療法を継続中である. 胆嚢小細胞癌は極めて稀であり,悪性度が高く臨床経過も急激で予後も極めて不良とされている.化学療法も通常の腺癌と異なり,小細胞肺癌に準じたレジメンが有効であるとの報告がある.本症例では,胆嚢癌と乳癌それぞれの組織学的診断を得ることにより適切な治療を選択することができ,治療効果に結びついていると考えられた.
索引用語 胆嚢小細胞癌, 乳癌