セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル

内視鏡的粘膜生検後の出血に関する検討

演者 福田 昂一郎(札幌医科大学 医学部 消化器・免疫・リウマチ内科学講座)
共同演者 山下 健太郎(札幌医科大学 医学部 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 赤保内 正和(札幌医科大学 医学部 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 一色 裕之(札幌医科大学 医学部 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 小野寺 馨(札幌医科大学 医学部 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 村上 佳世(札幌医科大学 医学部 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 斎藤 真由子(札幌医科大学 医学部 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 山本 英一郎(札幌医科大学 医学部 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 能正 勝彦(札幌医科大学 医学部 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 有村 佳昭(札幌医科大学 医学部 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 篠村 恭久(札幌医科大学 医学部 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 佐藤 康史(札幌医科大学 医学部 腫瘍・血液内科)
抄録  【目的】内視鏡的粘膜生検は出血低リスク手技に分類され、生検後出血はまれな合併症である。大規模な検討が少なく正確な発症頻度は不明であるが概ね0.2%以下という報告が多い。抗血栓薬継続下での生検後出血の頻度も不明であるが、欧米ガイドラインおよび2012年の日本消化器内視鏡学会ガイドラインのいずれも、単剤の抗血栓薬服用例では生検時の休薬は不要と記載されている。今回我々は当院で施行した内視鏡的粘膜生検を対象に、生検後出血の合併について検討した。【方法】2011年1月より2013年6月の期間に当院で上下部内視鏡を受けた症例を対象とし、内視鏡的止血、輸血、入院等の介入を必要とするいわゆるmajor bleedingを生検後に来した例を調査した。抗血栓薬服用者のうち同意を取得できた例は札幌コンセンサスに登録し抗血栓薬継続下で生検を施行した。同意未取得例は院内ガイドラインに準拠し一定期間の休薬後に生検した。【成績】上記期間に2,770例の粘膜生検が施行され2例で生検後出血を来し、発症頻度は0.07%であった。2,770例中376例(13.6%)に抗血栓薬が処方されており、376例中158例(42%)では抗血栓薬継続下に、残り218例(58%)では休薬後に生検を行った。生検後出血の2例はいずれも抗血栓薬服用例で、1例はアスピリンとチクロピジンを継続下に胃体部の小発赤から1点、他の1例はシロスタゾールを7日間休薬後に食道胃接合部の小びらんから1点生検した。いずれも早期癌の可能性を考慮した生検であったが、病理組織学的に癌は否定的であった。抗血栓薬服用例に限定すると、生検後出血の発症頻度は0.5%(2/376)であった。【結語】今回の検討において生検後出血の発症頻度は0.07%であった。抗血栓薬服用例に限定すると0.5%に上昇したが、休薬下の生検後出血例も存在し、抗血栓薬と生検後出血の因果関係は更なる検討が必要である。
索引用語 生検, 出血