セッション情報 一般演題

タイトル

診断に苦慮したBMI32の膵Lymphoepithelial Cystの一例

演者 岡本 哲郎(清田病院 消化器内科)
共同演者 村松 博士(清田病院 消化器内科), 猪股 英俊(清田病院 消化器内科), 宮島 治也(清田病院 消化器内科), 平田 健一郎(清田病院 消化器内科), 長町 康弘(清田病院 内科), 山内 尚文(清田病院 内科), 井原 康二(清田病院 内科), 小山 隆三(清田病院 内科), 西里 卓次(清田病院 外科), 山田 秀久(清田病院 外科), 福島 正之(清田病院 外科), 矢野 智之(清田病院 外科)
抄録 症例は61歳男性。身長166cm、体重89kg。ビール500ml + 焼酎200mlの飲酒家。職場健診の便潜血陽性のため受診した際、肝機能障害の精査のために行った腹部CTで膵尾部に腫瘤が認められた。AST/ALT=41/71と上昇あり、γGTP=47, sAmy=57は正常でCA19-9=64と上昇していた。造影CTで腫瘤は膵尾部に直径約5センチの低吸収域として描出される多房性嚢胞性病変であった。その被膜は比較的厚くその一部は造影された。周囲リンパ節の腫大やFluid collectionは認められなかった。MRIでは嚢胞内容はT1WIではやや高信号、T2WIでは著明な高信号であった。また嚢胞壁には結節状の隆起を伴っていた。MRCPおよびERPでは主膵管との交通は明らかでなく、主膵管の拡張や透瞭像は認められなかった。 腹部超音波では高度肥満のため、体表プローブから病変までの脂肪組織による減衰が強く、膵尾部に低エコー病変が認識されたのみで、嚢胞壁や嚢胞成分についての情報は得られなかった。超音波内視鏡でも同様に減衰強く病変の詳細について所見は得られなかった。 径5センチ大の膵尾部の多房性嚢胞性膵腫瘍で、MRIで嚢胞壁内の隆起を考慮すると分枝型IPMCの可能性を否定できず穿刺は播種のリスクを伴うと判断した。十分なICのうえ腹腔鏡下膵体尾部切除術を行った。病理所見で境界明瞭な嚢胞壁は重層扁平上皮層とリンパ組織層の2層からなり嚢胞内容には角化物も認められるLymphoepithelial Cyst(LEC)であった。 膵LECは膵嚢胞性疾患の約0.5%の稀な疾患で、各種画像診断によっても診断可能であるが、本症例では高度肥満によって超音波所見が十分得られず診断に苦慮した。文献的考察を含めて報告する。
索引用語 膵嚢胞, Lymphoepithelial Cyst