セッション情報 |
シンポジウム2 「肝胆膵疾患における画像診断の進歩」
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タイトル |
IPMN観察例からの膵癌拾い上げにおける画像診断の現状と課題
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演者 |
林 明宏(イムス札幌消化器中央総合病院 消化器病センター) |
共同演者 |
丹野 誠志(イムス札幌消化器中央総合病院 消化器病センター), 羽廣 敦也(イムス札幌消化器中央総合病院 消化器病センター), 金野 陽高(イムス札幌消化器中央総合病院 消化器病センター), 上野 敦盛(イムス札幌消化器中央総合病院 消化器病センター), 本村 亘(イムス札幌消化器中央総合病院 消化器病センター) |
抄録 |
【目的】近年、高危険群からの膵癌早期発見に期待が寄せられている。膵癌の画像診断には造影CT、MRCP、EUSなどが中心的役割を果たしているが、高危険群に対してどのような間隔と方法でサーベイランスを行うべきか定まってはいない。本検討では、膵癌高危険群とされる分枝型IPMNの観察例に発生した膵癌をもとに、膵癌診療における画像診断の現状および課題について検討した。【対象と方法】定期画像検査で観察中に膵癌の発生を認めた分枝型IPMN症例14例(男女比9:5、平均年齢72.6歳、平均観察期間74.9か月)を対象とした。他院から紹介となった症例では、過去の画像所見を検討可能な場合を対象とした。膵癌は病理学的に管状腺癌であることが確認された病変と定義し、膵癌の臨床的特徴、診断契機画像、定期検査間隔、腫瘍倍加時間について検討した。【結果】平均腫瘍径は23.7mm、部位はPh 5例(35.7%)、Pbt 9例(64.3%)、IPMNとの位置関係はIPMNの近傍3例(21.4%)、頭側5例(35.7%)、尾側6例(42.9%)、JPS stage III 2例(14.3%)、IVa 9例(64.3%)、IVb 3例(21.4%)、診断時症状は黄疸3例(21.4%)、腹痛2例(14.3%)、体重減少1例(7.1%)、無症状8例(57.1%)であった。検査間隔は6~12か月ごとが8例(A群)、12~24か月ごとが6例(B群)、検査間隔A群におけるJPS stageはIII 2例(25%)、IVa 6例(75%)、B群ではIVa 3例(50%)、IVb 3例(50%)であった。診断契機となった初回の画像検査は造影CT 13例(92.9%)、PET 1例(7.1%)、EUSによる膵癌の描出は施行例で全例可能で、画像所見をもとに推定された腫瘍倍加時間は180.3日であった。【結論】IPMN観察例からの膵癌拾い上げには、無症状例であっても検査間隔を6か月以上に延ばさず、短くすることで早期発見できる機会が増えると考えられた。現状では診断契機画像の大部分が造影CTだが、EUSとMRCPを組み合わせることによって膵実質と膵管の異常を早期検出する工夫等が今後必要になると考えられた。 |
索引用語 |
膵癌, 画像診断 |